株式会社 脳力開発研究所|アルファ脳波を指標にしたメンタルトレーニング、脳力開発、ヒーリングなどの研究開発、指導を行っています。

サトルエネルギーと脳波との関係 (1)
サトレエネルギー学会シンポジウム発表論文より抜粋
徳島大学工学部講師
脳力開発研究所志賀一雅
要 旨
サトルエネルギー現象と思われる波動測定に関し、オペレーターの右脳と左脳の脳波を同時に計測し関連性を調べた。また第三者の手のひらを使っては動測定を試み、オペレーターと第三者の脳波を同時に測定し関連性を調べた。オペレーターの右脳と左脳、あるいはオペレーターと第三者との脳波がα波やθ波で同調したとき波動測定値に妥当性が見られ、脳波の同調がないときには、波動測定値に妥当性が見られなかった。二人の脳波がα波やθ波で同調するためにはお互いに心と体をリラックスさせ、雑念を捨てた無心の境地になることがポイントのように思われる。
1. はじめに
1999年2月の波動シンポジウムにおいて、山梨浩利氏に協力いただき、波動値を測定しているときの脳波を観察して、二重盲検法による実験で波動値が的確であったときと、不的確であったときとの脳波的な差異を報告した。
要約すれば、コードを設定して波動測定を開始するまでは前頭葉から強いα波が観察されたが、共鳴音から非共鳴音に切り換わるときに、脳波の振幅が小さくなり、大脳の新皮質が電気的に不活性になったとき、測定の的確性が高まっているように思われた。
このことから波動測定が的確に行われるには、新皮質の活動が抑制され、辺縁系や間脳、脳幹の活動が優位になることが必要条件のように思われる。別の表現をすれば、雑念を捨て、虚心坦懐に測定することが必要で、意図的な判断や思考が加わると的確性に欠けることを意味している。 空間に存在する情報(波動情報)を、辺縁系や間脳、脳幹で感知するメカニズムはまだ解明されていないが、勘が働いたり予知的な感覚が働くのと同質のものではないかと思われる。
今回は波動測定中のオペレーターの右脳と左脳の脳波の関連性について詳細に観察分析するとともに、第三者の手のひらを使っての波動測定を行い、二人の脳波の関連性にも注目した。これは、空間に存在する情報(波動情報)を、辺縁系や間脳、脳幹で感知するとすれば、大脳新皮質の反応と異なり、個々人の体験や学習の影響を受けずに、二人の脳波がシンクロナイズするのではないかと予想されるからである。
2. 実験の概要
実験は山梨浩利氏に協力いただき、1999年2月の波動シンポジウムで報告したときとまったく同じ方法で追試を試みた。
さらに、実験者が第三者となり、実験者の手のひらを山梨氏にあずけ、山梨氏は自分の手のひらとみなしては動測定を行った。このような方法を行ったのは山梨氏の提案であり、これまでに波動オペレーターの養成指導してきた経験から、人の手のひらでも同じように測定できると思う、と言う発言からヒントを得て実行した。
脳波測定は被験者の心理・生理的な負担を軽くし、測定していることが気にならないように心がけた。具体的には2チャンネルの超小型脳波計(日立超LSIデバイス製 Mind NAVI)をノートパソコンに接続して計測した。
3. 実験結果
実験 (1)
前回試みた2重盲検法は被験者の心理的な負担が大きく、気楽に実験を行ってもらえないので、サンプルの内容をあらかじめ説明し、下表に示す4種類のサンプルをランダムに取り上げて測定した。準備の都合で、東京の水道水と特別に入手したミネラルウォータと、それぞれに1ppmに希釈したマラソン乳剤を混入させたものを用いた。
写真2に波動測定中の脳波観察の様子をしめす。4種類のサンプルと、リファレンスサンプルとしてサンプルNo.102と同じものを用意して感覚を調整してもらった。他のサンプルはランダムにブラインドで手渡し波動値の測定を行った。このようなテスト法では完全なブラインドとは言えないが、ある程度許容されるものと考える。
盲検法によるテストサンプルの波動測定
オペレーター 山梨浩利氏
実験者 志賀一雅 実験日  2000年1月14日盲検法によるテストサンプルの波動測定 写真3に、パソコンのディスプレー上に表示された山梨氏の右脳(上段)と左脳(下段)の脳波を示す。横軸は時間で、左部分の1分間は目を閉じて心静かに過ごしている状態。続く5分間は波動を測定しているときの脳波をします。縦軸は電圧値で最大80μV。グラフはθ波が青、α波は緑、β波がピンク色で表示される。
目を閉じて心静かにしようとしている状態では、初めはα波やθ波が強く観察されるものの、次第に振幅が小さくなり、無念・無想の境地かも知れない。但し、山梨氏の内省報告では特別の心理状態になったわけではないと言う。
サンプルを測定装置に乗せ、コードを設定している段階では、α波やθ波が強く、時にはβ波も観察されるが、共鳴音を聞きながら測定を続けると次第にα波やθ波の振幅は小さくなり、5μV以下になると非共鳴音が鳴る。共鳴音が鳴る直前に山梨氏は独特の感じが掴めるのか、手のひらにプローブがへばりつくような感じになるそうで、そのとき「そろそろ」と言ってもらうことにした。
写真4に矢印のつけられている部分が「そろそろ」と発言した位置で、その後すぐに非共鳴音に変った。このような状態での計測値は信憑性が高く、前回の実験と傾向が完全に一致した。まれではあるが、α波やθ波の振幅がまだ高い状態のまま「そろそろ」と発言した時には、その後なかなか非共鳴音にならなかったり、測定値に信憑性が乏しかったりする。
4. 考察
波動測定は、何らかの形で空間情報のやり取りがあると考えられる。しかし、現代物理学で考えられる情報の交換という概念にはなじまない。
そこで、何らかの媒介によって情報が伝達され、その情報によって細胞の状態が変るというモデルを想定する。情報の伝達には、テレビやラジオの送信機と受信機のように、情報のキャリアである電波の周波数を合わせることが必要で、チューニングされなければ情報は伝達されない。チューニング特性がよければ情報は極めて微弱な電波であっても正確に情報を受信できることと同じように、オペレーターのチューニングがよければ、正確な波動測定が可能だと思われる。そのチューニングをコントロールする中枢は脳であり、脳波である程度は推測ができる。これまでのオペレータの報告によると、

1. 心と体をリラックスさせ
2. 無心の境地で脳波の振幅を小さくする
3. ほんの少し測定対象に意識を向け、コードを設定する
4. その後、心と体をあるがままの状態にゆだね

再び脳波の振幅を小さくするというような状態にコントロールできれば、うまくチューニングされるように思われる。このことは波動測定のの熟練者が「欲望を捨て、虚心坦懐に、いろいろなことを意識しないで気軽にやるとうまくいく」という表現と合致している。
脳は、階層構造をしており、脳の奥の方の脳幹は、「何が何でも生きる働きの爬虫類の脳」であり、その外側の視床や視床下部は「より逞しく生きる働きの哺乳類の脳」、その外側は大脳新皮質で、「より満足に生きる働きの霊長類の脳」があるといわれている。脳波は脳の一番外側にある大脳新皮質の電気的な活性度合いを観察している。
仕事や勉強、スポーツや趣味などは大脳の新皮質の働きが支配して知恵や意欲や力がコントロールされるわけだから、α波が強く出ている状態の方が集中力が高まって力が発揮されるが、細胞の免疫機構や病気の治癒力は、脳幹や視床下部、辺縁系などの働きで支配されるので、大脳新皮質で支配されない方がいいのかも知れない。
視床下部に視交差上核と呼ばれる神経核があり、俗に体内時計といわれている神経細胞の集団だが、この細胞集団から7.5Hzの基本周期を持つ信号が出力されているという報告がある。写真6と写真7に示すケースは、θ波(7.5Hz)で互いに同調したとき情報を捕らえたと思われ、その後皮膚の電気抵抗に反応が現われるまで、大脳の新皮質が活性にならなければ(α波もθ波も振幅が小さく保たれていれば)波動値が正しく測定できるのではないかと思われる。
この場合のθ波は、大脳の新皮質で発生したものではなく、視床下部の視交差上核から発信されている信号を観察したのかも知れない。これらを明確にするために、ヒーリングや「気」による治療、遠隔透視などの現象と脳波観察とを比較すると手がかりが得られるのではないかと思う。引き続き「サトルエネルギーと脳波との関係 (2)」にてこれらの観測結果について報告する。
参考文献
1) Introduction to Quantitative EEG and Neuro-feedback James R. Evans, Academic Press
2) Getting Well Again, Carl O. Simonton, James Creighton, Boston
3) Executive ESP, Douglas Dean and John Miharasky, Prentice Hall London
4) The Right Brain, Thomas R. Blakeslee, Anchor Press, New York
5) 脳力開発の成功例 志賀一雅 朝日出版
6) 潜在脳 志賀一雅 ダイヤモンド社
7) 前頭葉α波のフィードバック増強 志賀一雅 バイオフィードバック学会誌
(Ⅰ)バイオフィードバック研究Vol.9、1-4、1982
(Ⅱ)バイオフィードバック研究Vol.9、5-9、1982
(Ⅲ) バイオフィードバック研究Vol.10、51-53、1983
8) アルファ脳波の活用 志賀一雅 電子情報通信学会誌、Vol. ET91-98、49-54、1991
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