フジサンケイビジネスアイ 掲載バックナンバー B1|株式会社 脳力開発研究所

フジサンケイビジネスアイ 掲載バックナンバー
B ビジネス成功の秘策

「ひらめき脳」の効果実践
近年、脳の構造や働きに関する研究も進んできた。この連載を通じて記載したいことはたくさんあるが、できるだけ日常の仕事とか勉強、生活に役立つことを取り扱うようにする。

私の専門はエレクトロニクスで、松下電器の研究所で22年ほど研究開発に携わってきた。主に半導体の物性研究や集積回路の開発、コンピューターの頭脳となるLSI(大規模集積回路)を開発してきた。

ところがどこでどう間違ったのか大脳コンピューターの研究を始めた。「研究員の知的生産性向上」を目的にした研究で、脳力開発を目指した。立場は違っても同じような体験をされた方も多いと思うが、ふとアイディアがひらめいたり、なぜか意欲が湧き出たり、器用に手が動いて難しいことをなし遂げたり、半導体の研究で、何回か私はこうした体験をした。

国際会議で発表できたり、特許に結びついたり、頻繁にそうなればうれしいが、めったにないから悩みは大きい。ひらめきについて言えば、風呂でのんびりくつろいでいるときや、寝床でまどろんでいるとき、山歩きで景色を眺めながら休んでいるときなどであり、皮肉にも立派に設備された研究室で仲間と議論したり真剣に考えているときではなかった。

「ひらめき脳」にするための、適した環境とか条件がありそうだ。だからと言って、研究室に風呂を備えたり寝床を用意したりはできない。壁に山の写真を貼るわけにもいかない。何とか研究室に居ながらアイディアがひらめき、意欲の高まる脳の状態にならないだろうか、そんな思いから脳の研究を始めた。これらの研究成果と実践で確かめたことをビジネス成功の秘策として、これからお伝えしていくことにしよう。

ビジネスに限らず試験や試合、オーディションやコンテスト、心と体の健康などにも役立つはずだ。それぞれの立場で試してみてほしい。

ただ休むだけでは疲れは解消しない
脳の働きから考えると、疲労回復の最善策は満足感に浸ること。「できた」「よかった」「おいしかった」「おもしろかった」などと満足感に浸り、感謝の気持ちがこみ上げてくると、脳内物質の作用で全身の細胞の疲れがとれ、さらなる満足を求める体勢が整う。

だから、毎日がこのような気持ちで過ごすことができれば疲れることは決してない。それどころか、より満足を求めて、さらに行動したくなるし、頭がさえ、意欲が高まってツキにツキまくり絶好調となる。もし疲れを感じているのなら、とりあえず休日や休暇をとって旅行やハイキング、趣味やスポーツなど、好きなことをして心から楽しむといい。せっかくの休みに、ただのんびりとしていたり、寝るだけでは疲労回復の効率が非常に悪いし、不満の気持ちが高まれば、むしろ疲労感が増してしまう。趣味もなく、出かけるあてもなく、何もすることがないままで過ごすのなら、「ゆっくり過ごせてよかった」と、心から満足感に浸るだけでも同じ効果が期待できる。

もうお気づきのことと思うが、どう感じるかが全身の細胞の状態を決めてしまう。客観的にはどうであろうと、主観的な思いが疲労回復の鍵を握っているからだ。風呂に入れば、血液循環がよくなるから疲れがとれるし、不足している栄養やビタミン、ミネラルを補えばいいと思うだろうが、それは必要条件であり十分条件ではない。せっかくいい血液が送られてきても、細胞が栄養を吸収し、老廃物を放出しなければ代謝はできない。その制御は血液に含まれている情報のメッセンジャー(ホルモン)で行われる。それゆえ、代謝促進のホルモンが分泌されることが必須で、満足中枢(A10神経核)から分泌されるドーパミンが有効とされている。

風呂に入ったら「いい気持ち」おいしいものを食べたら「おいしかった」、好きなことをしたら「楽しかった」、寝るときは「よかった」と主観的に思うことが大切で、いくら客観的な質を高めても問題は解決できない。

とりあえず自己満足から始めよう
私たちの脳は、生物進化の過程で、宿命的に「より満足を求めて生きる」ように構造化されているから、満足を感じないと脳の活動には不具合が生じる。 例えば、生活習慣病や欝病なども、日常生活での満足感の欠如から生じているといえよう。

ではどうしたらいいか。

大きな目標を立て、その実現を目指して努力するといい。成功すれば大きな満足が得られる。ビジネスの分野だけではなく、スポーツや芸術、芸能、研究開発や教育も、満足の目標は高く辛い努力が続く。そこには創意工夫が必要となり、少しでも成功の可能性が見えると、辛い努力にも希望が湧き出て、喜びと満足に変わる。あるいは、別に大きな目標を立てたわけではないが、やっていることが大好きで、喜びと満足で過ごしてきた。そして気がついて見たら大成功していた、ということもたくさんある。「人はなぜ働くのか」の問いに対する答えもここにありそうだ。

経済が原則の社会だから、無駄な努力をやめて合理的にした方が収益は大きい。要領よくやれば労せずして成功するだろう。でも、いかに収益があり、一見成功したかに見えても、心からの満足感が湧き出てこない。勝ち組の人たちから感動のインタビューを聞くことができない。苦労を乗り越えて、独自の技術にプライドを持つ創業社長の目の輝きと肌の艶、表情の何と感動的なのだろうか。満足感の質の違いが正直に現れてしまう。

そこで、心からの満足感に浸る練習をしよう。夜、「よかった」と思いながら眠りに就く。何がよかったのかは問わない。いいことが何もない人は、いいことに気づかないか、見つける力が不足しているだけのこと。例え失敗したとしても、騙されたとしても、反省は大切だが、この程度で「よかった」と思う練習をする。朝は「よく寝た、いい気持ち」と思いながら起きること。かりに寝つきが悪く、睡眠時間が短くても、「よく寝た」と思う練習をする。そうすると、どんな逆境でも、いいことを見つけて満足できる力が芽生えてくる。

自己満足では進歩がない?
脳は主観的な満足(自己満足)を感じると、さらなる満足を求めるような力が湧き出て、客観的な満足を創り出す力を整える構造になっている。しかし、年輩諸氏、特に体育会系の人は腹立たしく思うだろう。「こんなことで満足していたのでは大成しない!」と言う罵声が聞こえてきそうだ。あくまでも満足せずに頑張らなければ成功しないと言いたいだろう。

確かにそうかも知れない。しかし、成功への道のりは長く効率が悪い。健康を損ねたり、人間関係がこじれたり、いろいろな犠牲を伴う。成功したときには、心も体もボロボロかも知れない。途中で意欲も減退して自信がなくなり、欝になる人も多い。

どうしてだろうか。

満足しないということは、満足中枢からドーパミンが分泌されないので、全身の細胞の疲れが取れずに鬱積してくる。それにもかかわらず頑張るのだから、内蔵、特に消化器の疾患が生じる。胃腸の悪いスポーツ選手やモーレツ社員の何と多いことか。柔軟な動作もできないから怪我も多くなる。それに加えて不満の気持ちが高まると、交感神経が亢進して副腎髄質からノルアドレナリンが分泌されてしまう。このホルモンは攻撃力を高めるために骨格筋を活性にさせ、攻撃に関係のない細胞の働きを抑制する。火事場の力は出るが、知恵も免疫力も柔軟性もなくなる。

もちろん現状に満足してとどまっていたのでは進歩はない。我ながらよくやった、よく頑張った、明日はもっとよくしよう、もっと頑張ろうと少しずつ満足のレベルを上げればいい。それが積もり積もって大成功へつながる。気がついたら何の犠牲もなく大成功、まるで夢のよう!と叫んでみたいではないか。

ただし、これはあくまでも心の問題であるから、TPOに応じてどう表現するかは気をつけなければならない。皆が沈み込んでいるのに、自分だけが満足感に浸っていたのではひんしゅくをかう。表現はその場に合わせながら、心の中ではこの程度で「よかった」と思えば再起の体勢が整う。

お先真っ暗ですか?
夢も希望もない、などと嘆く前に、己の脳の働きを信じ、これから良くなることを想像して光明を見つけよう。今年もあとわずか。ちまたではクリスマスムードが高まっている。

♪きっと君は来ない…サイレンナイト…♪。

この時期、毎年のように耳にする名曲。何とも切なく侘びしいが、それでいてわずかな希望と期待感が残っている。実は人間の脳は不確実なことに対して敏感に働く構造をしている。絶対に来るか、絶対に来ないか確実に分かっていればそれほど気を揉むこともないが、不確実だからこそ、わずかながらの希望と期待感がわいてくる。これは意識中枢にある期待の神経回路が電気的に活性になり、その出力が視床下部の下垂体前葉細胞を刺激して、期待のホルモン(チロトロピン)が分泌されるからで、全知全能、全生命力が発揮される体勢になると言う。

ところで、科学者たちは自然界の変化する現象を、確実に予測できる規則的なものと、でたらめに変化して予測できないもの、予測はできないが、何らかの規則性がありそうなものの三種類に分けて考えている。

天候などの自然現象や生き物の動きなどは、完全には予測できないが、何らかの規則性がありそうだ。このような現象を科学者たちは、ピンクノイズ(1/f揺らぎ)と称している。音楽で言えば名曲がこれにあたる。1/f揺らぎのfは変動の周波数(Frequency)で、ゆっくり変化するものが多く、早い変化が少ないのが特徴。穏やかな日の波の音、小川のせせらぎ、そよ風に揺れる木の葉、星のまたたきなどがその典型であり、心地よい刺激だ。

脳はこの1/f揺らぎに対して敏感に反応する。だから、不確実な望みにわくわくする。ひらめきや行動の意欲もわき出てくる。期待のホルモンを分泌して知恵や意欲を発揮し、満足のホルモンで終結する構造になっている。絶望という言葉や現象があっても、希望の灯を消してはいけない。脳は、常により満足を求め、より満足が得られるように休みなく動いているからだ。

大きな夢、希望を持とう
毎年のことながら、年末年始には社寺仏閣に詣でると思う。

日ごろは信仰心が薄くても、なぜかこの時期になると祈りたくなる。今年を反省して、来年の目標を意識して祈る。ただし、社寺仏閣の前での祈りは、喜びと感謝の気持ちだけにとどめておこう。祈りに願いをこめない方がいい。

一般に、祈念祈祷は家内安全、商売繁盛、交通安全、健康回復、合格や世界平和などを願うが、これらは、すべて自分の努力で解決すべきもの。いかに神仏の加護を求めても、超越的な力(そのような力があるのだろうか)が作用するとは思えない。努力のチャンスが与えられたことに感謝しよう。

こう言うと、宗教家や信心深い人から強烈な反発を受けるだろうが、脳波研究で超越的な力を観察してきた結論でもある。これまでに多くの祈祷師、霊能者、気功師や超能力者、ヒーラーやセラピストなど、現代の科学では説明のつかない力を発揮する人たちが起こす現象と脳波との関連を観察してきた。

これらに共通していることは、施術者の心と体がリラックスして意識を集中させ、周りの人が(多ければ劇的になる)共鳴共感すると超越的な現象が起きる。昔から言われていることだが、人の意識が物体や生命体に作用を及ぼしていることになる。

このことに関連して米国プリンストン大学の注目すべき研究がある。GCP (世界意識プロジェクト)で、要約すれば、半導体に流れる電流のランダムノイズから乱数発生装置が作られているが、その乱数が人の意識で大きく変わる現象を見つけた。半導体に流れる電流のノイズから作られた乱数発生装置からは、全くでたらめな信号(専門家はホワイトノイズという)が発生するはずだが、大勢の人の意識が揃うと、その乱数に偏りが生じるという。大発見だと思う。

いま世界36個所の研究機関に設置した装置のデータをプリンストン大学に集め、分析結果を毎日ネット上で公開している。驚いたことに、二〇〇一年九月一一日に、世界中の装置の信号が大きく偏ったという。

目標達成の喜びを想像しよう!
初詣に行かれましたか?

一年の計は元旦(一日の朝)にあり。今年の目標を明確にして、社寺仏閣の前で心と体をリラックスさせ、敬虔な気持で目標達成の喜びを想像する。まるでもう実現したかのような気持ちになり、「よかった、ありがとうございます」と喜びと感謝の気持ちを奉納する。これからのことなのに、願望ではなく、現在完了形の喜びと感謝の意識がいい。なぜか。

その理由は、満足中枢(A10神経核)を刺激して、ドーパミンを分泌させ、強いアルファ波にするため。お願いごとをしたのでは、ドーパミンは出ないしアルファ波も強くならない。脳の働きから考えると、目標とドーパミン、目標とアルファ波とが条件づけされる。それが汎化され、目標達成への努力がドーパミンによる満足感とアルファ波による集中力が高まりで、効率が非常によくなる。

人間の脳は、いいことを想像して満足感に浸ると、そのいいことを創り出す知恵と意欲と力が湧き出る仕組みになっている。実は、今日の精密工学の基礎となるフィードバック制御を考えたN・ウィーナーは、人間の脳のこのような働きをモデルにしてサイバネティックス(船の舵)という概念を提唱した。

ところで、自然に「よかった、ありがとう」と思えるように、日ごろからメンタルトレーニングをするといい。そのため、私はGCN(世界意識ネットワーク)運動を始めた。これは、日本標準時刻で、0時、3時、6時、9時に合わせ、皆で一緒に五分間の瞑想をしようという運動。時間のない人は五秒でいい。軽く目を閉じて、深呼吸しながら「よかった、ありがとう」と思うだけ。

ホームページには時計が表示され、その時刻に島川万里奈さんの美しい音楽「賛美の海」を5分間聞きながら瞑想できる。世界各地からの参加もあり、何人瞑想しているかが表示される。「よかった、ありがとう」という意識がこのとき地球上を覆い、乱数発生装置だけでなく、人の脳にも強く影響を与え、この世から紛争がなくなると思う。

意識が物体にも作用する
米国プリンストン大学のGCP(世界意識プロジェクト)についてもう少し続けよう。この研究は人の意識の作用力を定量化できる可能性を示している。半導体に流れる電流に含まれるノイズは、熱振動している原子核(格子)と自由電子との相互作用によって発生するもので、専門的には電子散乱といい、解析的にも取り扱えるし、実験で確かめられている。

GCPによれば、この電子散乱が人の意識で大きく変わったことを示している。しかも、遠く離れているにもかかわらず。ニューヨークでの同時多発テロだけでなく、ダイアナ妃の事故、チェチェン紛争やイラク戦争など、悲惨なニュースで世界中の人が震撼としたとき、世界各地に備えられた乱数発生装置のすべてに異変が起きた。日本では明治大学の石川幹人教授が研究されており、東京ドームに装置を持ち込んで、巨人阪神戦での観察を試みている。面白いことに、どちらかが点を入れたイニングでは乱数に大きな偏りが生じる。4万4千人の意識が集中したとき、半導体に流れる電流が変わるそうだ。

かつて、松下の研究所で脳波の研究をしていたとき、電気通信大の佐々木茂美教授の依頼で超能力者の脳波を計測したことがある。被験者は、透視やスプーン曲げで有名な超能力者で、実験机に固定したスプーンを、触らずに曲げたり捻ったり折ったりする。超科学的な力を発揮しているときは、これまでに観測したことのない強いアルファ波が左右の前頭葉や側頭葉から観察された。同じ周波数のアルファ波で、しかも位相まで揃っていた。強いアルファ波が出ている状態でイメージすると、イメージした通りの現象が起きる。試験者は、スプーンが折れて周りの人がびっくりした状況をイメージして喜びと満足感に浸るらしい。

金属は、自由電子の動きに伴うクーロン力で硬く結合されている。この自由電子と原子核との相互作用が、人の意識で変わるのだから、局所的に金属結合も変わり、曲がったり折れたりするのかも知れない。長年の懸案が解明できそうな気がしてきた。

過ぎたるは及ばざるよりも悪し
今年は四柱推命によると景気がかなり上向くらしい。木・火・土・金・水の配置や、気の巡りから判断するらしい。必ずしも科学的な根拠があるとは思えないが、多くの人が信じてそのように思うと事態は変わる。

人間社会は複雑系の典型だからちょっとしたことが影響して大きく変動するのが特徴だ。
膨大なデータを基にして分析したコンピューター予測も同じことで、景気の動向や長期天気予報もおおむね外れるが、天気と違い、景気の場合は、多くの人が思う方へシフトする。このような現象を、専門的には非線形といい、1+1=2にならないからややこしい。地球の温暖化や環境汚染、少子化も非線形現象だから正確な予測はできない。ただし、人が介在しているので絶望ではない。個人の場合も同じで、環境がどうであれ、これまでの成績がどうであれ、非線形現象だから将来を心配することはない。何とかなると思えば何とかなるし、良くなると思えば良くなるものだ。

情報化社会だから情報が溢れているし、それらを入手したり保存する便利な道具もある。しかし、いくら情報を多く集めても、最終的に意思決定するのは自分だ。コンピューターに任せるわけにはいかない。大脳から導き出される直感を信ずるしかない。いろいろ経験を積めば積むほど、その直感も冴えてくる。情報が多ければ安心かも知れないが、肝心の決断は選択肢が多くなり鈍くなる。迷いが生じてさらに情報が欲しくなる。情報が少なければ迷うこともなく決断がはやい。一を聞いて十を知る感覚が芽生えてくる。情報は必要最小限度に留めておこう。もともと細胞には不足しているもの、枯渇したものを補う力があり、微弱な刺激に対して敏感に働くようにできている。その典型が月の引力で、視床下部にある体内時計(視交差上核)は、月の公転周期リズムと同期しているという。

たまには小さな音、かすかな光やほのかな香り、薄い味など、弱い刺激、少ない情報でも行動できる自分にしよう。それが生命体の本来の姿なのだから。

集中できますか?
何事も集中できればうまくいく。得意なことや好きなことは集中できるのに、苦手なことや嫌いなことは、いくら頑張ろうとしても気が散る。それが仕事や勉強となると問題は深刻だ。

果たして妙策はあるだろうか。

脳の働きから考えれば、もともと集中できる構造になっているから、それほど深刻に考えなくてもよさそうに思う。得意なことや好きなことに対しては、やる前に期待感が高まる。やっているときは興味、好奇心がわく。やり終えたときは満足感や達成感に浸れる。このような状態になると、脳は意識したことに集中できる構造になっている。だからますますうまくいき好きになる。好きこそものの上手なれ、脳波も集中のミッドアルファ波が強く出る。苦手なことや嫌いなことに対しては、不安や不満の意識が働き、交感神経が亢進して副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されてしまう。そのため逃避や破壊行動の体勢となり、骨格筋は活性になるが、他の細胞は抑制されてしまう。

専門家の観察では、期待の意識が高まると、下垂体から全知全能を発揮させるホルモン(チロトロピン)、興味や好奇心が高まると、集中力を発揮するホルモン(コルチコトロピン=副腎皮質刺激ホルモン)、満足感や達成感ではドーパミンが分泌されると言う。だから、全身の細胞が能力発揮体勢になるらしい。

そこで肝心なときにこのようなホルモンが出るように、メンタルトレーニングをしておこう。練習は食事のときがいい。効果は抜群なのでぜひ実践してほしい。

食べる前に、「おいしそう」と期待感を高める。食べているとき「おいしい」と味に興味を持つ。食べ終えたら「おいしかった」と満足感に浸る。好きな食べ物を用意すれば簡単だが、嫌いな物、まずそうなものにもチャレンジしてみる。やがて反射が汎化されて、何事に対しても、「できそう」という期待感、やっているときは「できる」という確信、やり終えたときは「できた」という達成感がわき出て、苦手なことも克服できる。一週間は続けてみること。
A.1B.1〜10|B.20〜