志賀 |
お久しぶりです。大先生をお呼びして恐縮ですが、よろしくお願いします。
先生は国際生命情報科学会(ISLISインターナショナル・ソサエティー・オブ・ライフ・インフォメーション・サイエンス)の創設からご尽力され、会長も務めておられました。今年は第23回シンポジウムが開催されたわけですが、ずいぶん長く続けていらっしゃいますね。 |
河野 |
そうですね。昨年10周年を迎えました。シンポジウムは、年に2回開催しております。 |
志賀 |
今年のプログラムを拝見して、主に大学の研究者がお集まりの研究テーマとしては、心霊現象やスピリチャリズム、あるいは「気」などを取り上げ、学究としては異質に感じますが、そもそもこれを組織された狙いは何だったんでしょうか? |
河野 |
「気」やスピリチャルなどの現象って、超能力を含めて、一般の科学者には、認められていないですよね。 |
志賀 |
そうですね。 |
河野 |
そこでライフ・インフォメーション・サイエンス、すなわち生命情報科学という抵抗の少ない名称のもとで、認められていないものをきちんと科学の土俵に乗せてデータを提供していこうと創った学会なんです。・・でも今大会では、タイトルにあやしげな名称が多かったですね(笑) |
志賀 |
これまでの科学は、物質現象やエネルギー現象を対象としていて、人間を介在させなかった。そこに人間現象を取り込んで、しかも、生命という根源に着目しながら、そこから発生するいろいろな現象を科学的に解明していこうという姿勢でしょ? なかなか難しいですね・・・。 |
河野 |
難しいですね。10年前にこの学会を作ったときには、4~5年一生懸命やれば、何かがでてくるだろうと始めたのですけれど、未だにきちんと証明できるものがでてきていませんから・・・。 |
志賀 |
大学に籍を置きながらそういった研究をするな、といろいろ妨害はありませんでしたか? |
河野 |
ありましたよ、もちろん(笑)。 |
志賀 |
はり、未だにありますか。有名なのは、福来友吉博士が、今の東京大学、かつての帝国大学の助教授だったときに催眠の研究から透視や念写の実験をされ、ロンドンで開かれた学会で、念写を世界で初めて発表された後、物理学教授が排斥運動をして帝国大学から追放されてしまったことですね。以来、大学でのこの種の研究はタブーになっていますよね。 |
河野 |
そうですね。ずっとタブーのまま来ていますね。最近も水に感謝の言葉をかけると水の結晶がきれいになるという話を、物理学会で取り上げ、論理的でない話をするのは困るというセッションがあったんですね。そもそもは、小学校の先生が子どもたちに道徳的な意味で、ありがとうという気持ちを持ちましょう、と話したらしいんですけれど、科学離れが学校の中で言われているときに、いいかげんな科学の話はいけないということから、大きくなって、問題になっているようです。未だにそういったものは、たたかれる材料になっていますね。でも、それに対して、そうではないときちんと示せるようなデータがないんです。データに基づいてしか認めない科学者たちが、なるほどと言えるようなデータを出したいですね。 |
志賀 |
そこが難しいですね。水の結晶の場合、結晶は写真ではっきりしているけれども、そのプロセスがみえていないんですね。 |
河野 |
みえていないですし、誰がやってもきれいな結晶ができるかというと、そうではないですからね。やる人の問題というのが、常に関わってきてしまいますね。 |
志賀 |
再現性や客観性のないものは、科学の対象外にしがちですからね。 |
河野 |
はい。今の科学は再現性・客観性のないものは、全く認められていませんね。 |
志賀 |
今年の春の「ISLIS」は、先生が実行委員長をされ、その中で中村先生と連名で「祈りの科学的測定」という演題でご研究を発表されていますね。 |
河野 |
今回の実験では、脳波の他、きゅうりを使ってバイオフォトンも測っています。 |
志賀 |
おもしろい試みですね。しかし、これは大変な実験でしょう? フォトンをカウントするなんて・・・ |
河野 |
そうです。フォトマルチプライヤーで共同研究者の小久保さんが測りました。人間ですと真っ暗な中に長時間いることや、動かないでじっとしていることは難しいので結果が出にくかったのですが、きゅうりですと、真っ暗な中に入れておいても文句を言わないですからね(笑)。 |
志賀 |
(笑)。 |
河野 |
しかも、ヒーリングをしたきゅうり、しないきゅうりと、きちんとコントロールしたものを用意できます。それらの両方のバイオフォトンを測ると、明らかに差が出るんです。 |
志賀 |
そうすると、やはり「気」というものに何かの作用力があるということですね。 |
河野 |
「気」だけではなく、祈りのようなものや「癒し」などには、何か作用がある可能性がありますね。 |
志賀 |
「気」などに対する証明の入り口に立ったということですね。それでも、「気」そのものを掴むのは難しいですね。 |
河野 |
いまのところまださっぱり掴めていません。 |
志賀 |
なぜ測れるかはさておいて、根気よく脳波を測ると、ときどき振幅の大きい調和振動のアルファ波が観測されますよね。私は、このアルファ波はたくさんの神経回路の活動がシンクロナイズしたときに出て、脱シンクロナイズしたときに出なくなる、という解釈をしていますが・・・。 |
河野 |
なるほど。 |
志賀 |
先生はそうではなく、アルファ波が出ているときは、脳はリラックスして働いていないと解釈されていますよね。 |
河野 |
全く働いていないと思うとおかしくなっちゃいますけれども・・・。 |
志賀 |
脳死ですか?(笑)。 |
河野 |
要するに、自ら活動していない神経細胞では、奥の方からの信号に多くのシナプス電位が同期的に反応して、あのようなアルファ波になるのですが、神経細胞が活動すると、その同期から外れてベータ波になると考えているわけです。先生は、前頭葉で測っていらっしゃいますよね。 |
志賀 |
はい。以前はいろいろの部位で
も計測しましたが、今は左前頭葉に絞っています。 |
河野 |
私は脳全体を見ていますが、前頭葉では、普通のリラックス状態でアルファ波は、あまり出てこないんですね、それが集中しているときには、確かにアルファ波の数値がピッと強く出るんですよ。 |
志賀 |
はい、よく分かります。 |
河野 |
私は何かにぐっと集中したときというのは、前頭葉を休めた瞬間だと思っているわけです。 |
志賀 |
なるほど。そこはとてもおもしろいですね(笑)。私は、ピッとアルファ波が出るのはたくさんの神経回路が一斉に活性になったからだと思うんですが・・・。 |
河野 |
前頭葉はどうもあれこれ迷っているときの方が使われているんですね。余計な考えがなくなった瞬間にアルファ波が前頭葉にピッと出る。そのとき、脳の使うべき場所だけをしっかり使っている。それが集中なんだろうと私は思うんですよね。 |
志賀 |
なるほど。賛成できませんが、おっしゃる意味はよく分かります。 |
河野 |
雑念だらけのときには、あまりアルファ波は前頭葉には出てこないですから。 |
志賀 |
これはまったく平行線ですね。かなり先まで歩み寄れないですね(笑)。 |
河野 |
(笑)。そうですね。 |
志賀 |
反対の解釈ですから・・・、どちらも検証は難しいですけれども・・・ね。 |
河野 |
いづれにしても、集中のときには前頭葉にアルファ波が出るわけですから。 |
志賀 |
出るんです。そこは完全に一致していますね(笑)。 |
河野 |
それをどう解釈するかですよね。 |
志賀 |
はい。あまりいい例えではないですが、神経回路あるいはシナプスを教室の生徒に例えると、大勢の生徒がいる教室で先生が一人の生徒に「この本を朗読しなさい」と指示して生徒が朗読を始める。はじめは周りがガヤガヤ騒いで、うるさい状態で一人の生徒が朗読している。しかし、先生がちょっとうるさいから静かにしなさいと、抑止の信号を出して、何人かが静かになったけれども、まだガヤガヤしている。さらにまだうるさいと怒るとシーンとなる。そのとき最高にアルファ波が出て、一人の朗読が教室中にいきわたる。これが先生の解釈ですよね? |
河野 |
そうです。 |
志賀 |
では、私はというと、一人の生徒が朗読しているときに、先生が○○君、私語を止めて一緒に読みなさい、みなも一緒に読みなさいと指示する。そして、全員が読み上げるとアルファ波が強く出る。独奏ではなくてオーケストラの大合奏です。 |
河野 |
なるほど。そのへんは、検証していかなくてはいけないですね。 |
志賀 |
どういう解釈であれ、集中して能力を発揮するためにはアルファ波が必要ですから、そういう意味ではアルファを強化することは意味がありますよね? |
河野 |
そうですね。気を受けるような場合にも似たような状況があって、受けた瞬間にアルファ波がピッと出ることがあります。先生の解釈だと受けたから反応して出る、私はそのときふと静かになって、受けやすくなったと。 |
志賀 |
はは~~ん、分かります。 |
河野 |
要するに、自分の方の勝手な思考が抑えられたために、外からのものを受けやすくなった瞬間だという捉え方をしているんですね。 |
志賀 |
なるほど。おもしろいですね(笑)。 |
河野 |
(笑) |
志賀 |
いま世の中は脳力開発ブームで
すが、私どもは同じ脳力開発トレーニングの分野で活動していますが、先生から脳力開発に対して、何かアドバイスをいただけるとうれしいのですが・・・。 |
河野 |
人間の脳はかなり可塑的で、脳に入力されたものはどんどん取り込んでいきますので、何もしないよりした方がいいことは確かですね。 |
志賀 |
はい。失敗も大いにした方が、その人の人生にとっていいですしね。 |
河野 |
ええ。例えば、何か一つのことに長けている人というのは、脳のその部分は相当使っていますが、それ以外の部分については、あまり使っていないことがあります。仕事以外のものにもいろいろチャレンジしていないと、仕事が定年で終わったときにボケてしまうことになりかねません。自分が普段やっている以外のことを一生懸命やることで頭の他の領域を使うことは必要なことですね。ですから仕事以外でおもしろいと思えるものがあったらどんどんやればいいと思います。 |
志賀 |
なるほどね。 |
河野 |
ただ、あまりに単純なたいして面白くないものを、脳トレだからと一生懸命にやっていても、それほど効果はないのではないかという気はしますね。 |
志賀 |
そうですね。イプラスジムでは週に1回会員さんが来られ、3ヶ月のレッスンでマスターした後は、ご自分の場で活用していただけるようなプログラムでスタートしたんですが、やっているうちにおもしろくて、さらに続けたいと希望があり、レッスンの内容を増やして、今では3年のプログラムになってしまいました。 |
河野 |
すごいですね。 |
志賀 |
その中で、予期していなかったことは、レッスンを続けているとコミュニケーションができてくることなんですね。 |
河野 |
それはすばらしいですね。 |
志賀 |
いまはコミュニケーションが不足していて、家族や職場でも、メールだけだったりしますね。ジムでは利害関係がありませんから、和気あいあいとなるのでしょう。みなさんが、リラックスして楽しいコミュニケーションのできる場の提供だと思っています。 |
河野 |
なるほど。そうすると、脳トレというのは、自分でだけやるものではなくて、そういったコミュニケーションの場にでて行ってやる方がずっと効果があるということなんですね。 |
志賀 |
そうです。注目しているのは、中学生、社会人、高齢者といろいろな年代の人が入り混じっていることです。中学生が話していることを、高齢者が感心して聞いてくれるんです。僕の話をこんなにきちんと聞いてくれたことは今までなかったので感動した、と話してくれました。 |
河野 |
なるほど。今は、学校でもどこでも同学年でしかつながりがないですからね。そういった縦のつながりは貴重ですね。 |
志賀 |
そういった活動をしていますので、ぜひ先生一度ジムの様子をご覧いただきながら、ご指導いただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。 |
河野 |
こちらこそどうもありがとうございました。 |