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NEW VISION WEB版 vol.07
vol.7[掲載内容]
『理事長からの手紙』
 イプラス脳力開発トレーニング協会 会長 志賀 一雅[ CLICK ]


『学校教育と脳トレーニングの可能性』
 対談 志賀 一雅 × 石黒 哲明[株式会社船井総合研究所 執行役員][ CLICK ]


『イプラス実践の記録』(前編)[ CLICK ]

『自分を知り世界を知るビジョントレーニング』
 米国公認オプトメトリスト 内藤 貴雄 連載 第三回[ CLICK ]


『全国のイプラスジムより』イプラスジム福井[ CLICK ]

『イプラス体験記』[ CLICK ]

 会長からの手紙
志賀一雅 ご挨拶  今年のいきいき脳フェスタは、これまでのイベント会場での開催と違い、東京女子学院の施設をお借りして、共催の形にさせていただきました。このような企画は始めてで、ご参加いただいた皆様には行き届かないことが多々あり、申し訳なく思います。また、スタッフの皆さんにも大変なご苦労をおかけしました。
 イプラス脳力開発トレーニング協会は、今後もいろいろな経験を積み重ねていくことで、ノウハウを蓄積し、脳力開発の分野では他に追従を許さない立派な組織と活動を目指したいと思っています。
 今、全国で一五カ所のイプラスジムが活動し、約八〇〇人の会員さんが脳力開発トレーニングを行っています。
 このトレーニングは、若いうちに学校教育で実践するといいのですが、現在の教育カリキュラムでも時間が足りないので、なかなか組み込んでいただくことが困難です。
 この度、フェスタの共同開催をきっかけとして、東京女子学院の酒井理事長をはじめ教職員の皆様方のご理解をいただき、授業の中に少しずつビジョントレーニングや右脳開発、メンタルトレーニングを導入していただけることになりました。その成果が多くの学校関係者の目にとまれば導入校も増えると思います。これまで高等学校でメンタルトレーニングを導入した学校は、松商学園高等学校と日本航空学園高等学校のみです。松商学園の大学進学クラスが二〇年間も続いているのは、それだけ成果があるからです。最近では専門学校が積極的で、沖縄のKBC学園と船橋情報ビジネス専門学校が成果をあげています。
 ところで、十一月から日刊紙、「Fuji Sankei Business i.」に、「志賀一雅の脳を鍛える―ビジネス成功の秘策―」と題して、毎週水曜日のコラムを一年間担当することになりました。京セラ稲盛会長の「稲盛哲学に学ぶ」の後を受けてのコラムで光栄に思っています。
 これまでの脳力開発に関する研究成果や実践で確かめたことをビジネス成功の秘策としてまとめましたが、受験や試合、コンテストやオーディションなどにも役立つと思いますので参考にして下さい。
 この機関紙が皆様のお手元に着く頃には既にスタートしているはずです。五〇回の連載ですので、ぜひお読みいただき、ご意見やご要望をお寄せ下さい。可能な限り反映させたいと思います。

イプラス脳力開発トレーニング協会 会長
志賀 一雅

 対談 志賀一雅 × 石黒哲明 「ビジネスにおける脳力開発の成功事例!」

株式会社船井総合研究所(以下船井総研)執行役員、イプラス脳力開発トレーニング協会理事、そして脳力開発の先駆的実践者である石黒さんと志賀先生の対談です。
「15年も前に脳力開発講座でお名前を聞いた志賀先生と対談するなんて夢のようです」とおっしゃる石黒さんは、ご自身の経験から脳力の大切さを実感し、多くの人に知ってもらいたいと心から願い行動されています。脳力に強い魅力と自信をもつお二人の対談をお楽しみください。
 なぜ始めたのか?
志賀 先輩の経営コンサルタントがたくさんいる中で頑張って来られたわけですが、経営というのは知識や論理的な判断も大切でしょうが、勘やひらめきがものを言う場合が多いでしょう?いかにして的確な勘を働かせるかが成否の分かれ目のような気がしますが・・・。石黒さんは脳力開発のプログラムによってご自分を磨かれた経験から、実務で役立っている実感はありますか?
石黒 はい、おおいにありますね。まずは自分の心と体をある程度コントロールできるようになりました。人は誰でも調子の良いときと悪いときがありますよね。調子の良いときはいいとして、悪いときも悪いなりに自分をうまくコントロールできていると思います。この仕事は、経営者とお会いする機会が多く、話をお伺いしていると成功した経営者の方は本当に勘やひらめきが素晴らしいですね。そして、それらの感性を大切にされていることを強く感じました。
志賀 勘を働かせることは、権限がありますからトップだとやりやすいでしょうね。もちろん責任もありますが、ミドルやボトムたちが勘を働かせても、「何を言っている」と叱られてしまうし、発想の根拠を求められる。だから論理的な説明が必要になる。仕事も知識や論理が中心でしょうから、勘やひらめきを発揮するチャンスがあまりない。石黒さんは、それにも関わらず勘を働かせて成功された秘訣を教えていただけませんか?
石黒 私は中間管理職でも新入社員でも勘やひらめきは企業の中で十分活用できると思うんです。たとえば、お客さんの話を聞いているとき、言いたいことはこれじゃないかと思うのも、部下のいるリーダーであれば会社で座席を決めるときこの組み合わせが相乗効果を発揮するのではないかと感じるのも、一種の勘やひらめきだと思うんです。日頃から勘やひらめきを意識していれば、自分の中で培われ磨かれていくと思います。船井会長(船井総合研究所創業者・現最高顧問)がよく勘の話をされますが、勘の働く人には、二つのタイプがあるそうです。一つは、いわゆる天才で、見ただけで何の苦労もなく分かってしまう人。もう一つは、経験を積み重ねてきた人です。たとえば船井総研に「行脚一〇〇」というものがあります。これは、カレー店のコンサルタントをする場合に一〇〇のカレー店を見なさいというものです。一〇〇店も見て回ると、店の大きさ、座席数、メニューや客層からこの店の売り上げまで、お店に入った瞬間に分かるようになります。これは「行脚一〇〇」によって一〇〇個の引き出しができますから、コンサルタントするお店がどれに近いかを分類すればいいことになります。そしてそれが勘となる。だから勘は誰にでも培えるものだと思いますね。
志賀 豊かな経験が的確な勘を働かせる、というわけですね。そうすると、どんな状況や部門にいても、その気になれば、いくらでも勘を磨くことはできますね?
石黒 必ずできると思います。前職時代の話ですが、脳力開発プログラムを受講した人は、営業、SE、技術職、管理部門とさまざまな人がいましたが、みんな自分の心の状態がわかり、仕事に対する勘が働いて、それぞれの目標をクリアしていましたから。
志賀 オリベッティの山田さんからの報告では、脳力開発プログラム受講の前後では営業成績が30%もアップしたとのことでした。注目すべきは、新たな市場の開拓や前例のない大口の契約など、伝統や常識を超えた事例が多くなった、という成果です。他の企業からも、特許出願や実施件数が大幅に増えた、生産現場での不良率が激減した、怪我や疾病による休みが減った、仕事にやり甲斐を感じるようになった、など嬉しい報告をいただいています。実践者である石黒さんに力強く「勘は磨くことができる」と明言していただくと、ますます脳力開発の大切さを伝えなければいけないと思いますね。
 枯渇したものを補う脳
志賀 話は変わりますが、今は情報化社会と言われ、たくさんの情報を集めて分析し判断するのが主流ですよね。これが本当にいいのか疑問なのですが・・・。いくら情報を集めても、最終的に意思決定するのは自分ですし、情報が多ければそれだけ安心ですが、肝心の決断は鈍くなりますよね。迷いが生じて、さらに情報が欲しくなる。情報が少なければ決断も早い。一を聞いて十を知る感覚でしょうか。勘が冴えてくる。人間の脳はすばらしくできていて、情報が少ないと想像力が働いてクリエイティブな発想が出てくるので
はないかと思うのですが、石黒さんはどうお考えですか?
石黒 そうですね。あるときまでは、私も情報は多い方が良いと思っていましたので、いかにして自分の容量を広げるかを必死に考えていました。でも、今は情報入手手段が多様化して、自分の容量をどれだけ広げても、全然追いつかないんですよ。自分にとって大切な情報というのは、実は限られていて、いかに情報を捨てるかに力を入れなければならないことに気がつきました。
たとえば、コンサルタントという仕事柄、経済新聞などは毎日読むのが常識なのですが、私は、毎日は経済新聞を読みません。その日に縁を感じる書物を手にしているようにしています。それは一般新聞やスポーツ新聞、ビジネス書・マンガなどありとあらゆるものです。このときなんとなく読んだものが、後で有益な情報であったということが多いですね。もしかしたら勘やひらめきが働いているのかも知れないですね。どんな人も、あるときまでは情報をたくさん集めることが大切ですが、その量をどこかの時点で質に転化する必要があると思います。今の私は、決められたもの、与えられたもの、人が言う常識的なものは、あえて読まなくても勘が働き、ちょうどいいバランスが取れているようです。
志賀 それそれ、なぜか、ほしい情報がそこにある。無意識に読んだり聞いたりして得た情報が、数日後にすぐに役立つ、こういう現象が多いですね。脳が予知してアンテナの感度を高めるのかも知れませんね。少し古い話ですが、ニューワーク工科大学の二人の教授、ダグラス・ディーンとジョン・ミハラスキーが急成長した企業やヒット商品を出した企業を調べ、経営者の意思決定にESP(超感覚的知覚力)が働いている、と結論づけています。つまり、論理的な思考ではなく「勘」で意思決定している、と言うのです。
勘を的確にするために、彼らは瞑想をしたり、バイオフィードバック装置を使ってアルファ波の強化練習をしているらしいですよ。アメリカではそのための簡便な脳波フィードバック装置も市販されています。
石黒 私も脳力開発に興味をもって、脳波フィードバック装置を買いました。当時の月給の半分近くもしたかな?思い切ったおかげでアルファ波も強くなり勘がよくなったのでしょう、不思議な現象がとても多くなってきて自分でも驚いています。
 イプラスジムが担うもの
志賀 ところで、イプラスジムの社会的な役割は、もちろん脳力開発ですが、もっと大切なのは、ジムが人と人とのコミュニケーションの場として役立っていると感じています。トレーナーと会員さん、会員さん同士、目と
目を合わせ、表情を見て、声の調子を感じながらの会話ができているんですね。最近は、友達同士や親子の間ですら会話がきちんとできていないと聞きます。メールで済ませてしまう。家庭や学校、会社などで心を通わせた会話が少なくなっているんですね。ですから、せめてイプラスジムでは、人と人との真のコミュニケーションができる場にしたいと思います。石黒さんの会社ではいかがですか?
石黒 そうですね。コミュニケーション力がかなり低下しているのは事実だと思います。私の部署では年に4回ほど合宿をします。20代のメンバーが多く、学生時代に運動部にいた人を除いては合宿などの経験はないんですね。最初は、抵抗感があるようでしたが、普段と違う空間で会話をしているうちに一体感が生まれ、意識が一つになり、心地よい空間になるんです。イプラスジムは、目的も方向も皆さんそれぞれ違うでしょうが、目標に向かっている人が集まっているので、そういう場はとても意義のあることだと思います。
志賀 先日、何クラスかジムのレッスンにお邪魔しての印象ですが、トレーナーと会員さんとのやりとりが人間味溢れ、明るい雰囲気で、こういう場は他にはないと思うぐらいに凄く良かったですね。学習目的だけでなく、明るく楽しく過ごせる、お互いの信頼関係を築くことで、目標達成に向けての脳力が発揮できるようになると思います。まずは、イプラスジムでの時間を楽しく過ごしてもらいたいですね。
石黒 そうですね。私どもも多くのセミナーを企画しますが、いろいろな方が参加されます。同じセミナーでも、人それぞれに時間の過ごし方が違うんですよね。セミナーに対して目的をもって参加している方ばかりだといいのですが、面倒くさいと思っている方もいらっしゃる。同じ時間を使うなら前向きになるべきだし、スタート地点よりも終わったときに、自分が一歩でも成長しているということを目指すと効果が違いますよね。前向きの人たちの集まる場というのは雰囲気が良いですし、脳力開発というのは人間のベーシックな部分の力を高めるので、イプラスジムはまさしく前向きの気持ちを持った仲間たちとよい時間を過ごせる楽しい場だと思います。
 企業における脳力開発
志賀 そこで、イプラスジムの活動をよりよくするために「イプラス脳力開発トレーニング協会」を組織しました。協会には脳力開発に関わるさまざまな専門家をお迎えして情報交換を行い、大いに論議し、理想的なトレーニングプログラムを構築していきたいと考えています。そこに石黒さんもご協力いただいており、いろいろとご支援いただき感謝しています。今後の活動としてどのようなことをお考えですか?
石黒 私は約15年も前に脳力開発と出会ったことで、納得いく仕事ができるようになったと思うんですが、それ以上に人間としてのゆとりが持てたという実感があります。この感覚を、一人でも多くの人に掴んで欲しいですね。脳力開発をたくさんの人に知ってもらうために、できる限りのことはさせていただきたいと強く思っています。
志賀 船井総研でもいろいろと取り組まれておられるようですね。
石黒 はい。船井総研が潜在脳力開発講座を始めて5年ほど経ちます。始めたときの視点は個人の脳力開発でしたが、今後は企業の中で脳力開発をどのように活かしていくかというところに視点をおきたいと思っています。個人の場合は脳ブームの影響もあり、皆さん興味を持たれていますが、企業の教育体系の中ではまだまだ認知されていません。もっと啓蒙する必要がありますね。脳力開発は、20年前から実践している企業もあれば、未だに受け付けない企業もあるのが現実です。働いている人は何らかの形で企業に関わっているので、その場所で、どう自分の持つ力を発揮できるかということを関連づけながらやっていけるといいんですが・・・自分の脳力の可能性を知らないというのは、もったいないことですね。どうにかして企業に脳力開発を取り込んでいただきたいと思っています。「イプラス脳力開発トレーニング協会」理事の方々の中で一番企業に接しているのが私だと思うので、そういう意味ではその役割を担って行きたいですね。
志賀 ぜひお願いします。脳力開発と実務のスキルアップは車の両輪だと思います。企業研修は実務の力をつけるのが目的でしょうが、その学習効率を上げるためにも脳力開発は有効です。以前に関わった日本航空は、完璧な整備を、さらに念を入れて確かな整備にするために脳力開発を採用していただきました。企業の中で、脳力開発だけだと理解してもらえず後回しにされますが、業務のスキルアップと一緒に行うとうまくいきます。石黒さんが企業の中で率先垂範して成功されていますから、見習う人が増えてきそうで楽しみですね。ゆくゆくは、学校教育で脳力開発を採用していただけるといいですね。
本日はありがとうございました。今後のますますのご活躍を期待しています。
 対談 雑感
志賀 石黒哲明さんとは一緒に仕事をしたり、飲みながら雑談したり、個人的にあまりにも親しく感じているので、対談もつい友達感覚になり、原稿がまとめ難くて編集者をだいぶ泣かせたことと思う。考えてみれば上場企業の執行役員だから、もっと敬意を表さなければいけなかったのだが・・・親しさに免じてお許しいただこう。
 今回の対談では、かねがね気になっていた経営者の勘について話し合ってみた。お互い、どちらかと言えば左脳型人間。論理的な思考は得意で、勘やひらめきなどの右脳的な力は苦手に思っていたが、実務では発揮できているようだった。学校教育や企業活動では伝統や常識、論理的な思考や判断が重視されるが、それを否定するのではなく、有用であることを認めた上で、勘やひらめきのような非論理的な思考を活かすことも大切だと思う。
 それにしても15年も前に脳力開発トレーニングを受け、しかも、それがSRPをベースにしたものであったことを聞いて驚いた。そのときのテキストを見せてもらったが、研修担当者が紹介してくれたのだろう、余白に志賀一雅とメモしてあった。どこでどう伝わるか分からない。誠実に、真剣に取り組んできたことが、巡り巡って活かされていることを知ることができて、とても嬉しかった。


 イプラストレーニング実践の記録 (前編)

かつて拳を交えた2人のボクサーが語る
イプラストレーニングの可能性
今回は現在イプラスジムでトレーニングを実施されている2人のボクシング元東洋太平洋チャンピオンと担当トレーナー、担当カメラマンの方にご参加いただき、「かつて拳を交えた2人のボクサーが語るイプラストレーニングの可能性について」というテーマで、さまざまなお話をお伺いしました。2回にわたってお届けします。

山口真吾
1979.11.25生 プロボクサー
東京都武蔵野市 出身
Record:23戦17勝(7KO)4敗2分
出入りの激しいハイピッチなボクシングで相手を切り崩していくボクサーファイター。相手のボクシングに合わせてトリッキーな動きで翻弄する懐の深さもある。'98年10月プロデビュー。'02年2月23日 WBC世界ライトフライ級王座に挑むも10RTKO負け。
'03年5月12日OPBFライトフライ級王座獲得3度の防衛後'05年8月8日WBA世界同級13位升田貴久(三迫)とタイトルマッチを行い、升田が判定3-0で勝利。その後、復帰し世界チャンピオンを目指し練習に励む傍ら、イプラスジムでの脳力開発トレーニングを実施している。

升田貴久
1979.5.24 生 
愛媛県松山市 出身
Record:26戦16勝(4KO)7敗3分
1996年12月プロデビュー。その後一時期ボクシングから離れるも復帰し2004年2月元日本王者横山啓介、2004年6月元OPBFライトフライ級王者林田龍生に判定勝ち。
2004年11月よりイプラスジムに入会し、脳力開発トレーニングを実施。その後、山口真吾との対戦において判定3-0で升田が勝利OPBFライトフライ級王座獲得。名門三迫ジムに7年ぶりのチャンピオンベルトをプレゼントした。その後初防衛戦において12R判定負け。その後引退を表明。現在はイプラスジムに通いながら第2の人生のスタートに備えている。

林建次
カメラマン オフィスミギ所属
写真スタジオを経てカメラマンになるために修行中、バイク事故で右腕の機能を失った。23才~26才までの3年間リハビリと手術を繰り返す。 呼吸するのも困難な痛みとの闘い、未来が見えない不安、不自由な日々を悶々と過ごした。3回目の手術後、カメラマンとして社会復帰することを決意した。現在はボクシングを始め、さまざまな写真を撮り続け2006年4月29日幻冬舎から発売された「若きサムライ その声を聞け」北里洋平編著においても撮影を担当。山口真吾選手と升田貴久さんの友情をつないだボクシングを愛するカメラマン

美濃部 和巳
イプラスジム赤羽チーフトレーナー
2002年イプラスジム赤羽設立スタッフとしてイプラスジムトレーナー資格取得。その後、中高生以上の成人に向けてのメンタル・ビジョン・右脳開発トレーニングを総合したイプラストレーニングを指導。イプラスジム赤羽チーフトレーナー就任後、東京オプトメトリックカレッジ(スクーリングコース)卒業。通常のイプラストレーニングとあわせオプトメトリスト内藤貴雄氏の監修の下、プロスポーツ選手等の個別ビジョントレーニングに従事。山口、升田、両氏の担当トレーナーとして指導。今後さらに学校ならびに企業での指導なども予定している。

 何故このメンバーが集まったのか?

~まずは2人のチャンピオンに関わった、美濃部トレーナーとカメラマンの林さんから自己紹介をお願いします。

美濃部 一昨年(2004年)の11月に升田君が日本タイトル初挑戦でバタバタしている時期にも関わらず、イプラスジムに来てくれました。それ以来イプラスジムトレーナーとして、ご一緒させてもらっています。

~林さんはカメラマンとしてボクサーの方を撮られているんですよね?

はい、ドキュメンタリーという形で人数は少ないのですが20人位のボクサーを撮らせていただきました。その中の、三迫ジムとのお付合いで升田君も撮らせていただきました。山口君とは渡嘉敷ジムの興行で世界戦のポスターとかパンフレットの撮影で知り合いまして、それからの付き合いですね。二人との出会いは全く別ルートなんですよね。まさかこの二人が東洋太平洋のタイトルを賭けて戦うことになるなんて、最初は夢にも思いませんでした(笑)
山口 僕がチャンピオンだった時に升田君と戦ったんですよ。

~その日は私も会場で観させていただきました(笑)

試合前には「二人とも勝ってほしいけど、どうしよう」って悩みましたね(笑)僕はスポーツ記者ではないので、どっちも応援したいから正直観たくなかったんです。だけど、お互いに全力で試合をしてもらってそれで結果が出ればいいかなと思うようになりました。
山口 僕も升田君に敗れた後、引退しようと思ったんです。でも、もう一回ボクシングやろうと決意して復帰した後に、林さんにイプラスジムを紹介してもらって今年の9月から入会しました。
きっかけは、升田君に敗れて半年くらい経って、山口君の復帰戦を見たときに何か気持ちがこもった試合が全然できていないように思えたのと、ボクシングスタイルも前と違うんじゃないかなと思ったので、「どうして?」って聞いているうちに「山口君はビジョン(視覚)に何か問題があるんじゃないか?これはマズイ」と思ってそれでイプラスジムに「こういう奴がいるんですがみてやってください」と・・。
升田 その後、美濃部トレーナーからイプラスジムに入会してきたボクサーの名前が山口君だと聞いて「やっぱり」って思いました。僕は勝ったから良かったんですが・・(笑)でも、負けたほうからしたら・・。複雑でしたけど、山口君が望むのなら僕は全力で応援したい、って思いました。

~山口さんはビジョンが課題でイプラストレーニングを始められたということですが、他に興味が湧いた理由などあったんでしょうか?もしあれば教えてください。

山口 林さんから升田君が僕と試合をやった時に、イプラストレーニングをやっていたという話を聞いてとにかく興味を持ち、自分にプラスになるのであれば取
り入れたいと思いました。ビジョン以外にメンタルトレーニングにももちろん興味がありましたし。

~升田さんとのやりとりに抵抗などはなかったですか?

山口 全然そういうのはなかったです。僕に勝ったということは、僕の悪いところもわかっているわけだから何か役に立つアドバイスとかもらいたかったです。もちろん現役だと聞けない部分はあるのですが、引退するっていうので普通に聞いてみたいなと思いました。
升田 僕が現役だったらアドバイスは断っていたと思います。美濃部トレーナーもかなり困るでしょうね。
又、対決になったりして(笑)
升田 二人ともイプラスジムのマークをつけて戦うことになっていたかも(笑)

 タイトルをかけた戦い交差する二人のボクサーの人生

~升田さんとしては山口さんが入会するっていう話になったときはどんな感じだったんですか?

升田 山口君が入会した時に「イプラスジムに入会できてこんなに嬉しいことはない」って言ってくれたみたいで、すごく嬉しかったです。今は、山口君の大ファンです(笑)

~グラブを交えたら、相手の人となりのようなものがわかったりするのですか?

升田 合が終わってシャワー室で一緒になったときに、気まずいけどその時に話をして印象が決まるっていうのはありますね。山口君と対戦したときは試合後にシャワー室で会わなかったので感じの悪いイメージのままで(笑)
山口 僕は意外と試合をやった選手には親近感を感じますね。がんばってほしいと思います。でも升田君との試合のときは僕が試合前に睨みつけたりして、審判に注意されてしまいました(笑)
升田 最終ラウンドでゴングが鳴った後に山口君に突き飛ばされました(笑)
山口 そんな事した?(一同爆笑)
升田 でもあの試合は山口君にとって4度目の防衛戦っていうのが僕にとってはラッキーでしたね。

~その試合の時ですが、ラスト2ラウンド位から山口さんが恐ろしい形相で(笑)打ち合いを挑んだ時に、升田さんサイドのスタッフや応援団からは「足使え!」とか「逃げろ!」(笑)という声しか聞こえなかったんですが、升田さんは、逃げないで正面から応戦していましたよね。

山口 僕は負けてると思ったので打ちにいきました。そしたら、升田君も向かってきたので正直びっくりしました。
升田 僕は負けてるって意識はなかったのですが、絶対勝ってるという自信もなかったし何よりも挑戦者だったので向かっていきました。

~そういう試合を直に観させていただいて本当に感動しましたし、試合後もすごく爽やかな印象でした。会場全体が何かそういうムードだったようにも感じました。でももしあそこで升田さんがアウトボックスでポイントを守って勝っていたら少し違う印象だったのかもしれませんね。

山口 入場した時に升田君の気合はすごく感じました。いつもそうですが最初のジャブを交わした時にわかりますね。勝てる勝てないまでは無理ですけど、「こいつ今日はすごいな」とかはわかります。雰囲気ですかね。でも、こう言っちゃなんですがあの試合は負けてよかったです。引退しようと思ったけど復活してイプラスジムにも入会できたし、こういう形での升田君との出会いもあったから。

以下次号

 自分を知り世界を知るビジョントレーニング
内藤 貴雄
米国公認オプトメトリスト
特別視機能研究所 所長
イプラスジム学術顧問
カリフォルニア大学アーバイン校生物学科を経て、南カリフォルニアカレッジオブオプトメトリーを卒業。 我が国では数少ないドクター・オブ・オプトメトリーの称号を得る。 同時にカリフォルニア州の開業ライセンスも取得する。 '92年「特別視機能研究所」をスタートさせ、元ボクシングチャンピオンの薬師寺保栄や飯田覚士など様々な分野のスポーツ選手から小・中学生にいたるまでのビジョンケアをおこなっている。著書に「眼で考えるスポーツ」(ベースボールマガジン社)他多数。

 第3回 スポーツビジョン

歴 史

 今から30年ほど前になりますが、
一九七〇年代前半、オプトメトリストのドクター・ウイリアム・ハリソンは、大リーグのカンザスシティ・ロイヤルズに招かれ、選手たちの眼のケアとトレーニングを担当することになりました。眼のトレーニングというものにまだ馴染みのなかった選手たちが、いったい何をやるのか戦々恐々としていた中、他の誰よりも積極的にドクター・ハリソンにアプローチし、人一倍熱心に取り組んだひとりの選手がいました。彼の名はジョージ・ブレット、当時18才でした。
 後に、アメリカン・リーグのリーディング・ヒッターのひとりとなった、大リーグ通なら誰もが知る70~80年代のスーパースター
です。一九八〇年のシーズンには打率.390をマークし、一九四一年にテッド・ウイリアムズが樹立した打率.406に次ぐ打撃成績を残し、一九九九年には殿堂入りを果たした選手です。
ブレット選手は「ビジョントレーニングのお陰でメジャーに昇進できた。また、どうやって眼でボールに的を合わせ、どう捕らえていくかの技術を身につけさせてくれた」とコメントしています。
 その後、ビジョントレーニングは多くのメジャーチームに採用され、沢山の選手が取り組み、次々と素晴らしい記録を生み出しました。

メジャー屈指のスラッガー

 シアトル・マリナーズのエドガー・マルティネス選手は、メジャーに十八年在籍し、三〇九本塁打、二二四七安打、一二六一打点、打率.312を残しています。これだけ素晴らしい数字を残しているにもかかわらず、信じ難いことですが、大きな眼の問題があったのです。それは彼が、見ようとする目標物に対してふたつの眼の視線を同時にひとつに合わせることが難しい両眼のチームワークの問題でした。彼の右眼は意に反して外側へシフトしてしまい、左眼だけで目標を見なくてはならなくなるのです。つまり、ピッチャーの投げるボールを片眼だけで追うということが起こってしまうのです。マルティネス選手の眼の問題の場合、特に左投げのピッチャーの時に苦労するようで自分の思っているところより実際には近いところにあったりするのです。
 ただ、こういった眼をもった人は決して珍しくなく、その人の生活スタイルによっては、何も不便を感じずに過ごしてしまうこともよくあります。しかしメジャーで成功するにはちょっと荷が重すぎます。時速一四〇キロ以上で飛んでくるボールを眼で追い、その距離感をしっかり認識してバットで打つという仕事は、スポーツのなかでも最もむずかしい仕事のひとつであり、健全な眼の持ち主であっても大変な能力を要求されるものです。つまり、マルティネス選手の眼の問題は、野球ではとてつもなく大きなハンディとなったはずです。むしろ、彼がそのような眼の状態で13年間も大リーグで成功してきたこと自体が奇跡に近いのです。シアトル・マリナーズで、彼の”眼のトレーニング“をずっと担当してきたのは、ドクター・ニカイタニという日系人のオプトメトリストです。
 ドクター・ニカイタニは、マルティネス選手の眼の問題を彼の入団当時の検査で知り、それを克服するためにビジョントレーニングを指導し続けてきました。マルティネス選手専用のプログラムを作り、それを必ず試合前に約30分間おこないながら、彼が打席に立ったとき、ピッチャーの投げるボールに対してふたつの眼をうまく”チームワーク“できるよう習慣づけさせてきました。
「このトレーニング抜きには何も考えられない」とさえマルティネス選手はコメントしています。
 また指導しているドクター・ニカイタニは、こんなふうに考えるといいます。「多くの選手が30歳後半へ入ると、ボールのスピードや回転が読めなくなったりする。しかし、マルティネス選手は、顕著な眼の問題があったので、かえってその逆境に負けまいと、ずっと眼のトレーニングを欠かさないできた。それが功を奏したと思う。」

スポーツと眼

 スポーツ選手は俊敏な反応を要求されるばかりか、体のバランスを取りながら、フィールドという空間の中で、自分自身と他の物体との位置関係を把握しつつ、空中を飛んでくるボールやその他の目標物の動きに集中し、そのタイミングを眼で測ったりすることを絶えずおこなわなくてはなりません。
 いままでスポーツ選手に求められる条件といえば、「心、技、体」の3つと言われていました。しかし、私たちが外界からの情報収集の80パーセント以上を眼に依存している以上、眼の重要性はスポーツの世界でも見逃すことはできません。一般人よりもからだも頑強で身体能力も優れているスポーツ選手は、きっと眼の技能も非凡なものをもっているのだろうと考えられてきました。しかし、実際には視力がよくても、気がつきにくい眼の問題があるため、本来の実力を出しきっていないスポーツ選手はたくさんいるのです。マルティネス選手のケースのように、第一線で活躍しているスポーツ選手達の中にも、非常に基礎的な眼の機能の穴を発見したりすることは珍しくないのです。

 ジムレポート イプラスジム福井

 皆様、こんにちは! イプラスジム福井です。平成17年6月にオープンして以来、多くの方が体験にお見えになりました。オープン前は福井というチョ~田舎でイプラスジムに興味を持ってくださる方が果たしてどれくらいいらっしゃるのか全く予想もつかなかったのですが、やはりこのイプラスの威力はすごく、日々素晴らしい出逢いとレッスンの成果を実感いたしております。とくにメンタル面での効果を期待されて体験に来られる方が多いのですが、入会されレッスンの回数を重ねる毎に皆様がいきいきとした表情に変わってこられているのが明らかにわかります。「ジムに来ると、何だかわからないけれどウキウキした気持ちになり、元気になって帰れます!」と嬉しいお言葉を頂けるようになりました。いいこと報告を聞かせていただく度に本当にいい仕事と出会えたと心より感謝いたしております。
 「よかった!」「ありがとう!」の思い方を、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」の精神でいろんなところでお伝えしていると、「ホントにいいことありました!」との言葉をたくさん耳にするようになりました。
 最近、毎日の生活の中で、周りが益々「共振共鳴」「人とのご縁」「幸運(つき)」等 プラスの環境になってきているとひしひしと感じます。今後もより多くの方々に最高の生きがいを持っていただけるためのお手伝いをできればと思っております。
 最後にいつも温かくサポートしていただいているJBI本部のスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
2006年9月28日
イプラスジム福井スタッフ一同

 岸沢香織のイプラス体験記

イプラスジムのベーシックコースは、AからDまで段階があり、どのコースから受講してもOKというシステム。本日は、レッスンCのクラスに参加しました。今まではBクラスにおじゃましていたので、ほんの少しCクラスが難しいような気がしました。トレーナーさんいわく、「多少の違いはあるけれどあまり気にしなくていい」とのこと。
間違っても失敗してもどんどん進む気持ちで今日もレッスンに挑みます。

◎典型的日本人
今日は、いつものトレーニングに加え、質問に答えて自分の性格を割り出す「エコグラム」をしました。
結果は、N型。日本人に典型的な働き蜂タイプ。自分を抑制してしまい、ストレスが溜まりやすく、心身症や神経症になりやすいのだそう。「うっ、当たっているかも。くよくよ悩むこと、ある。ある」と、悲劇のヒロインになり落ち込んでいたら、「テストする環境や心境で結果は変わるので気にしなくていいですよ。気になるなら、トレーニングで変化させればいいのです」とトレーナーさん。そうだ、変化していけばいいのだと、心が晴れた私。あー、単純。より一層トレーニングに励まなくては!

◎リセット術
トレーナーさんからプロゴルファーのメンタルを指導されている先生の興味深いお話を聞きました。
ゴルフは、精神力のスポーツ。勝つためのポイントは、「切り替えと集中」。失敗を忘れ、次に集中する工夫をすることが大事なのだそうです。具体的には、コースを回るときに、ズボンのポケットの右側に小石などを入れておく。失敗したら小石を左側のポケットに移し、自分の気持ちをリセットするというもの。最初は、体に染み付いていないのであまり実感がないそうですが、続けていると習慣になり効果が発揮されるそうです。確かに、プレーが終わってから、なぜ出来なかったかを考えることは大切だけれど、プレー中に失敗を引きずっていたら、実力が発揮できないなぁ。なるほど。
これは、ほかのスポーツでもアレンジすれば役立つかもしれません。自分が失敗した時に、何かきっかけの行動を起こして、リセットする。試してみる価値がありそうです。

◎集中力アップ法
自分の好きなことをしているときは、集中できるのですが、仕事などでは、せっぱ詰まらないと出てこない集中力。もうこれは、私の性格でしかたがないとあきらめていたのですが、みなさんとの雑談の中で、ラッキーにも集中力のアップ法を教わりました。その方法は、なんと一〇〇マス計算をすることだそうです。
以前トレーニングで一〇〇マス計算したとき、ダンダンのってきて、計算しているのが楽しくなりました。そして、もっとタイム縮めてやる、と必死の形相で我を忘れて没頭。あの感覚に集中を高める効果があるのかもしれません。手作り一〇〇マス用紙を作成し、仕事を始める前に集中力アップ作戦実行してみようと思います。

今日は、具体的に自分がやってみたいことがたくさん見つかりうれしいレッスンでした。トレーナーさんが、よくおっしゃる「楽しくトレーニング」の言葉をかみしめつつ、自宅でできることをゆったりとしていこう。
しかし、今までの体験記を読み返して忘れていることをたくさん発見。あー、3歩進んで2歩いや4歩さがるになっている。いけない、いけない。これまでに学習したこと感じたことも復習しつつ、次へ進まなくては!

岸沢香織
会社員時代、社内報に書いたエッセイをほめられ、その気になって勢いでライターに。現在は、書評・インタビューなどを中心に活動中。