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NEW VISION WEB版 vol.02
vol.2[掲載内容]
『理事長からの手紙』
 イプラス脳力開発トレーニング協会 会長 志賀 一雅[ CLICK ]


『メンタルトレーニングの可能性』
 対談 志賀 一雅 × 児玉光雄[ CLICK ]


『イプラス実践の記録』
 プロボクサー 野中悠樹選手[ CLICK ]


『人生を成功させる奇跡のテクニック』
 児玉光雄連載 第二回[ CLICK ]


『ジムレポート』イプラスジム姫路[ CLICK ]

『イプラス体験記』[ CLICK ]



 理事長からの手紙
 「紺屋の白袴」と言う諺があります。昔、染物屋さんが、お客さんの反物を紺色に染めるのを商売にして繁盛していたときの話です。商売が繁盛するのはいいのですが、あまりの忙しさに、自分が着ている袴を紺色に染める暇もなくて白だった、という皮肉な状態を表しています。
 他人のことで忙しく、自分自身のことをする暇がないことのたとえとして、あるいは、人にはうるさく言うが自分に関しては何もできていないことのたとえを表しています。類似の表現に、髪結の乱れ髪とか医者の不養生、などというものあります。
 私たちは、イプラスジムに通う会員さんに、ビジョントレーニング、右脳トレーニング、メンタルトレーニングの方法をお伝えしています。もちろん限界はありますが、トレーナー自身が緊張し、あがってしまったのでは「紺屋の白袴」となりかねません。トレーナーになる方は会員さん以上に練習してください。
ビジョントレーニングや右脳トレーニン志賀一雅 ご挨拶グは評価が明確に現れますが、メンタルトレーニングは実践してもしなくても、すぐには分かりません。でも成否は確実に露呈されます。日ごろうまくできるのに、肝心なときに力を発揮できないのがその典型です。
 ところで、いま私は左肩が痛くて不自由しています。俗言うに「四十肩、五十腰」なのでしょうか。関節の部分的な炎症が原因で、自然に治るので気にしなければいいそうです。しかし、電車のつり革に手を伸ばせませんし、左手で何かを取ろうとすると激痛が走ります。昨年は右肩が痛みましたが、いつの間にか治りました。同じようにそのうちに治ると思いますが、せっかくのチャンスですので、メンタルトレーニングで痛みを軽減させることを試みています。
 心と体をリラックスさせ、手やおなかの温かさを確認してから「左肩の痛みは気にならない」「日ごとに左肩は良くなる。ますます良くなる」という自己暗示をかけています。これは、痛みを感じてからではほとんど効果がありません。痛みを感じていないときに行っておくと、痛みを感じる頻度が激減し、痛みも緩和されます。
日ごろのメンタルトレーニングがこんなところにも現れているのです。

イプラス脳力開発トレーニング協会 会長
志賀 一雅
 対談 志賀一雅 × 児玉光雄 「メンタルトレーニングの可能性」
今回は、メンタルトレーニングを違うアプローチで研究している志賀先生と児玉先生の対談です。先生方の関わってこられたスポーツ選手のお話を交え、メンタルトレーニングの仕組みやトレーニング法を語っていただきました。
生活で使えるトレーニングのヒントがちりばめられていますのでお楽しみください。
 おもしろさの秘訣
志賀 昨年の「いきいき脳フェスタ」で、児玉先生の講演がとても好評でした。
児玉 ありがとうございます。
志賀 イチロー選手を例に、天才と言われている選手も大変な努力をしているというお話をしていただきました。今日は、その辺から詳しく伺いたいと思います。
児玉 はい、わかりました。なぜイチロー選手をテーマにしたかというと、僕はイチロー選手の努力家な面が好きなんです。1つのことに執着心を持ち継続することは、簡単なようで難しいですよね。単純作業の繰り返しですから、みんなおもしろくないわけです。しかし、動機、つまり、「内発的モチベーション」を見いだせれば、単純作業も非常に楽しくなるのではないかと思います。
志賀 なるほど。
児玉 最近、仕事が面白くないという若者が多いですよね?
志賀 確かに多いようですね。
児玉 僕は、仕事というのは、おもしろい内容はあまりないと思うんです。同じ仕事でも、一生懸命取り組む人もいれば、やらされる感からおもしろくないと感じる人もいます。勉強もですよね。自分の心の内側から発するものを持たないと面白みが生まれてこない。おそらく、イチロー選手は、内発的モチベーションを高める工夫をして、楽しく練習をしているのではないかと思います。
志賀 イチロー選手は、はたから見たら大変な努力を簡単にこなしてしまう。没頭しているうちに我を忘れて時間が経っている・・・そういう感覚は、内発的モチベーションからくるのでしょうか。
児玉 コーチが「やれ」といったことをこなすのではなく、自分のためにやっていますよね。自分がどんどん高まることが楽しい。明日どういう自分になっているか。毎日少しずつ変わっていく自分に、すごくイチロー選手は興味を持っていると思います。
志賀 なるほど。
児玉 たぶん、このままやっていれば飽きることがないと思うんですよね。
 育て方の秘訣
志賀 イチロー選手のような高い内発的モチベーションを身につけるには、何かきっかけがあるのでしょうか?
児玉 先日、ゴルフの横峯さくら選手のお父さんとお話したんです。その時、父親の影響は大きいと感じました。子どもの自発性を育てるような工夫をされているんです。例えば、昔からされているおもしろい練習法で、遠くに竹をたてて、それがふたつに割れるまで、打ち続けさせていたらしいんです。
志賀 竹に当てて割るんですか?
児玉 初めは、当たらないので「お父さんやめたい」と言っていたそうです。それでもその練習を続けさせていたお父さんが、ある時さくら選手に「やめるか」って聞いたら、
志賀 「やりたい」って?
児玉 そう。「私は竹が割れるまでやる」とね。
志賀 エンジンがかかりだすと止まらないんですね。
児玉 はい。そういった工夫をすると子どもが興味を持つんですね。おそらく、イチロー選手もお父さんの存在が大きいと思います。いかにして子どもを導いていくかが、非常に大事だと思います。無理やりお尻を叩くやり方というのは、一過性としてはいいかもしれないですが、内発的モチベーションが高まるわけではないですから。やらされる練習、やらされる勉強になるんですね。自発の芽を子どもの心の中に育てるというのが一番の近道だと思います。
志賀 お父さん、つまり指導者の力量が問われるわけですね。
児玉 そうです。コーチという言葉の本来の意味は、「御者、馬車」なんですね。選手は馬ではなく、馬車に乗っているお客様だと思うんです。ですので、コーチは目的地に連れて行くために、上手に誉め、練習に創意工夫し、それぞれの選手にあう指導法を考える。さらに選手たちが、自ら考え行動する力をつける手助けをすることなのだと思います。
 モチベーションを高める秘訣
志賀 子どもの頃、自発の芽を伸ばす体験をした人は、少しのきっかけで、ぐんぐん伸びるでしょうが、そういった機会がないまま成長した場合、どのようにして内発的モチベーションを高めるといいのでしょうか?
児玉 今、具体的なトレーニングメニューをたくさん開発していますが、そのなかで、必ず2つやってもらうことがあります。1つは、3行日誌を書いてもらいます。例えば、ゴルフの場合、1年後の目標を書いてもらい、試したこと、反省点、不安、希望とにかく何でもいいから、ゴルフに関することを、毎日3行書かせています。そして、日誌を見直して、自分は何を考えていたか・どう取り組んでいたかを振り返り、次に繋げていくように指導しています。
志賀 なるほど。
児玉 もう1つは、ジムレイヤー博士が、スピードスケートの金メダリスト・ダンジャンセン選手に、3年間書かせ続けていた体調管理日誌をつけてもらっています。体調管理日誌は、睡眠時間、食事の質、自信や集中力などのメンタル面を、簡単に5段階のレベルで記入してもらう用紙です。この2つを書いてもらい、モニタリングすることで、内発的な動機が高まります。自分で書くということはとても大事。毎日同じことを繰り返すことはすごく小さなことのようだけれども大きなことだと思うんです。
志賀 そうですね。メンタルトレーニングについて言えば、トレーニングそのものは難しくないですよね。どう思うかですから。しかし、それを続けることができない。そこで、内発的モチベーションの高め方に工夫が必要ということになりますね。
児玉 そうですね。続けるためには、目標設定が大事になってくるのではないでしょうか。
志賀 確かに。
児玉 目標のないトレーニングは意味がないですし、自分の夢に向かって、動いている時は、効率も良いと思います。目標達成はもちろん大事ですけれども、目標のためにモチベーションがあがる、あるいはやる気が出ることが一番大事ですよね。いかに、プロセスに対して自分が一生懸命になれるか。そのために目標があるのだと思います。つまり、自分がどういう夢を実現したいかを考えて、それに対してどういうプランニングをするか。そこからやっていくといいのではないでしょうか。
志賀 確かにそうですね。私は高校生にも指導していますが、生徒たちは1年生の段階で目標の大学を決めている。でも1年の段階で決めると、目標が低いんですね。だから大きな喜びにつながらない。低い目標だと、実は目標が明確であっても、モチベーションがあまり高まらないですよね。
児玉 はい。
志賀 やはり、目標は高い方がいい。
児玉 なるほど。
志賀 少し無理かな、というくらい高い方が、イメージしたときの喜びが大きい。脳はおもしろい働きをして、実際に体験したことと想像で体験したことと区別なく反応してしまうんです。
児玉 ええ。
志賀 例えば、実際には見ていないのに、おばけが出たと思うと、気の弱い人は腰をぬかしたり、心臓がドキドキしてしまう。想像なのに実際に体験したような反応がでてしまうんですね。
児玉 ええ。
志賀 同じことが、優勝した経験がなくても、優勝を想像するとワクワクしてくる。高い目標をたてて達成できた状況を想像して喜びを味わっておくと、想像の体験ではあっても、脳は実際の体験と同じような働きをする。目標達成に向けて、モチベーションが高まり、自然と内部から力が湧き出てきます。ですから、目標はできるだけ高く設定して、実現できた喜びを味わうと効果的です。
児玉 なるほど、味わうことが大事なんですね。
志賀 はい。
児玉 ほかには、宣言効果がありますね。例えば、北島康介選手は、宣言することで内発的モチベーションが高まっています。
志賀 なるほど。
児玉 ゴルファーにも、ラウンド前に、自分がどれぐらいで回りたいかを宣言しなさいと言うんです。その日はだめでも、繰り返していると、どんどん上手くなっていきます。大ぼらでも、宣言させると必死になるんですよ。
志賀 確かに、宣言するとモチベーションが高まる選手が多いようですね。
児玉 僕は、志賀先生の内観のすすめを拝見して、メンタルトレーニングのひとつとして大変重要だと思っています。イチロー選手は、自分ひとりきりになる時間を確保してグラブを磨いていると言います。いわゆる志賀先生のすすめる内観ですね。一日の反省と自分が成長するために今後何をすべきかを考えているのだと思います。こういった、1人で瞑想する時間を持つことは、スポーツ選手に限らず、全ての人に必要なことだと思います。
志賀 そうですね。目を閉じ、心から満足と喜びを感じ感謝することで、脳はバランスを取り戻して、次の活動に備えることができます。ですから、内観や瞑想をすることは非常に大切な時間です。
 分かりやすさの秘訣?
志賀 先生は、京都大学工学部ご出身と聞いていますが、ご専攻は何でしたか?
児玉 専攻は金属の冶金です。住友電気工業で10年間研究開発本部勤務していました。具体的には、切削工具、いわゆる鋼を削る工具の新素材材質開発をしていました。
志賀 それで先生のお話は論理的なのですね。メンタルトレーニングはいつからですか?
児玉 約25年前からです。なぜメンタルトレーニングに関わったかといいますと、住友電気工業から、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院へマスターをとるために留学しました。UCLAは非常にスポーツの強い大学で、そこで昔のテニスが蘇ってきましてね。もともとテニスの全日本選手だったんです。
志賀 なるほど。ご自身がプレイヤーとしての経験をお持ちだったのですね。
児玉 はい。その後も3年ほど仕事を続けていたんですが、ロサンジェルスオリンピック頃、アメリカのオリンピック委員会のホットリサーチセンターで、客員スタッフのお話がありそちらに移りました。そこは当時スポーツ科学部門のトップだったんです。そこで、いろいろなことを勉強しました。ジムレイヤー博士と出会い、研究所に行き、ディスカッションや研究を通して、バイオメカニクスやメンタルトレーニングなどを学び今に至るわけです。
志賀 なるほど。ジムレイヤーの言うIPS(Ideal Performance State = 理想的能力発揮状態)が必要なときに発揮できればいいのですよね。そのためのメンタルトレーニングですが、いろいろな方法の中で瞑想を薦めているのが印象的でした。
児玉 そうですね。
志賀 先生のお話は工学部の科学的な視点がベースだから説得力がありますよね。メンタルトレーニングも工学的な分析で、随所に物理用語が出てくる。例えば「慣性の法則」というのは分かりやすい概念ですよね。動いている物体が急に止まるのは大変。止まっているものを動かすには相当のエネルギーが要る。で、われわれの生活の惰性を、いつもと同じようにやるのは簡単。でも改めるのは難しいよと。非常に分かりやすく置き換えてくださる。私は、半導体の研究をしていた経験がメンタルトレーニングに生きているんですが、先生は冶金を研究されたことがメンタルトレーニングに生かされていますか?
児玉 そうですね。理科的な考え方が生きているのではないかと思います。例えば、バイオメカニクスに非常に興味ありましたし、繋がっているところがあるんです。そういったヒントを取り入れることで、たくさんの方に支持してもらえるトレーニング法を考えていきたいですね。
 秘訣を公開する
志賀 ところで一般に、メンタルトレーニングは精神論で片付けられがちですが、かなり科学的に解明されてきて、手法が確立されつつあるように思います。ただ残念なのは、専門家の横のつながりがあまりなく、それぞれ独自に動いているためにノウハウの共有化ができていません。そのあたりはどのようにお考えですか。
児玉 そうですね。メンタルトレーニングは、まだまだ認知度合いが低いですね。その原因は、形が見えないからだと思うんです。例えば、筋力トレーニングでは、筋力を鍛えると増強された部分ははっきりとわかります。しかし、メンタルはそれが見えない。目に見えないものというのは、やはり説得力に欠けるんですね。本日、お話しましたように、毎日少しでも書くことで、形に残ります。記録をつけ自分と向き合うことが、メンタルトレーニングそのものだということを、ゆっくりじっくり教えるとわかってもらえる。しかし、こういったノウハウは、おっしゃるとおり、まだまだ遅れていると思います。ですので、上手くマニュアル化・組織化していけば、たくさんの人が興味を持ち試してみたいという吸引力がメンタルトレーニングにはあると思います。
志賀 ノウハウは企業秘密的な意味合いがあるでしょうが(笑)、信頼できる手法を確立するためには、それぞれ秘訣を公開して、大いに論議し合い、普遍的なものを作り上げたいものです。イプラス脳力開発トレーニング協会の目指す大きな目標でもあるわけです。
児玉 はい、メンタルトレーニングは、今後どんどん、普及していくと思いますから。
志賀 そうですね。メンタルトレーニングの必要性・重要性がクローズアップされてくると思います。今後もお互いに連携してメンタルトレーニングを多くのみなさんに伝えていきましょう。本日はどうもありがとうございました。
児玉 ありがとうございました。


< 2005年2月17日 >
    SCAビルにて 岸澤香織
 プロスポーツ選手・イプラストレーニング実践の記録

イプラスジムには、プロスポーツ選手が通っている。自分の可能性を夢を信じて、そのフィールドのトップを目指し、トレーニングに励んでいる。今回は、その中の一人である、プロボクサーにイプラスのトレーニングについて聞いてみた。

イプラス本部のトレーニングルームに、棒の上に立ち、ボールに書かれたアルファベットを読み上げ、2人から投げられるお手玉を軽々と受け取る背の高い青年がいた。イプラスジムトレーナー和田氏(以下、和田T)に「いいですね。足元が安定しています」とほめられている青年が、プロボクサー野中悠樹選手だ。
野中選手は、二〇〇五年四月からイプラスジムに通っている。この日、3回目のレッスンだというのにレベルの高いビジョントレーニングをこなしていた。しかし、「野中さんの体験レッスンの結果は、一般の方よりも低い結果だったんです」と、和田T。本人も「反射神経などが良くなるトレーニングがあるけれどやってみるか?と、知り合いから紹介されたんです。だけど、体験した時、あまりにも結果がひどかった。悔しさと、できないからこそ、試してみたい、やってみたいと思った」とレッスンの結果はよくなかったらしい。

 魅せられた男

野中選手は、ボクシングを始めて7年、プロになり5年。現在、日本スーパーウェルター級B組1位。「格闘技が好きだから、ボクシングを始めた」と語るとてもおだやかな人だ。プロボクサーはボクサーという肩書きで食べていけない。月曜~土曜日まで、朝7時から2時間の朝練、9時~17時は仕事、夕方からジムで2時間トレーニングというハードな毎日を過ごしている。「休みの日曜日は、ボクシングの試合が多いので、応援や観戦によくいきます。家でボクシングのビデオを見たりもしますね。頭から完璧にボクシングが離れるということはないです」と、ボクシングに魅せられている。

 タイミングも実力

初日こそ基礎トレーニングだったが、冒頭でふれたように現在はかなり高いレベルに引き上げられている。なぜなら、今、野中選手が通っているクラスは、ほかの会員さんがいないのだ。そのため、他のスポーツ選手のイプラストレーニングメニューを参考に、ボクシングに特化したトレーニングを和田Tが組んだ。さらに、試合が2週間後に控えているため、ビジョントレーニング8割、メンタルトレーニング2割の特別メニューを実践している。「偶然ですが、個人レッスンができることは、よい巡りあわせだと思いますね。いい予兆があると思うんです。違う時間帯のクラスだとここまで特化するのは難しかったかもしれないですから。さらに野中さんの実績がすごくあがってきているので、うれしくなりますね」と和田T。本人は、「まだ、ボクシングのスパーリングなどで実感はないです。イプラスのトレーニングに馴染んで意味を理解してきたところという感じです」と手ごたえはないようだ。しかし、数値が確実に伸びている。ビジョントレーニングの1つである、「シンガン」は、タッチパネル式のトレーニング機材で周辺視野の拡大を中心に判断力と、反射神経を使い、目から入った情報が正しいかきちんと判断しているかがわかる課題。野中選手は、体験レッスン時30回だったのが、今は、75回叩けるという。「野中さんの成果と体調をみながらトレーニングしているんですけれど、どんどん上げて大丈夫だと判断しています。今はまだ、自覚がないとおっしゃっていますが、例えば、パンチが見やすくなるといったトレーニングの成果がそろそろ表れます」と和田Tは断言した。

 支える力

野中選手と共に、トレーニングをしている人がいる。野中選手のボクシングトレーナーの伊森氏(以下、伊森T)だ。イプラストレーニングを自ら習得し、ボクシングのトレーニング法の1つとして、毎日のトレーニングに取り入れている。その真摯な取り組みが「成果として出ている」と和田Tは言う。
伊森Tいわく「彼は、体が大きいですが、スピードがとても早いんです。同じ階級クラスならば一番だと思います。ですので、全般的な技術がもっとついてくるとすばらしい選手になると思います。改善する余地がまだありますから、伸びる要素はたくさんあります。イプラスジムのトレーニングも始めましたしね」とボクサー野中選手の可能性に期待している。イプラスのトレーニングを始めて周りの反応はあまりない。「ただ、これから、結果を出して、成果があがれば、食いついてくると思います。そうなった時、イプラスのことは教えません」と伊森Tは余裕の笑みを浮かべた。
現在、試合2週間前の通常よりつらい練習時期だという。「減量しながら、練習量は、増やしていきます。試合前の約10日前から練習量を減らし、体重を落としながら疲れをとります。そういった厳しい面を乗り越えるために、メンタルトレーニングの思いかたが役立てばと思っています」と、ひとつ、ひとつの練習にイプラスジムで学んだことを、野中選手の栄養になるように考え、指導している伊森T。野中選手にとって、信頼でき、勝利への道を照らしてくれ る人である。

 未来を引き寄せる

「4ヶ月以内の目標が、試合に勝つこと。1~2年内の目標が、日本チャンピオン。3~5年後の目標が世界チャンピオンです」と淀みなく答える野中選手。その後、一拍おいて「実は、今日目標シートを提出したんです」とすらすら答えた理由をすこし照れながら教えてくれた。そのとき、和田Tが「目標をお話することはすごくいいことなんです。書く・話すということは、アファメーションといって、宣言すること。宣言すると、思いは強化されるんですね。それと、勝利を手にして、取材を受けるというイメージをもってこの取材を受けてください。成功されて、ボクシング雑誌に取材されていると思うといいです
よ」のアドバイスにうなずく野中選手。そして「一番欲しいものは、勝ちです。いい勝ち方(KO勝ち)をすれば、日本ランキングに入る可能性があるので、勝ち方にこだわって戦いたいです」と今度は力強く語った。

 第一歩

二〇〇五年五月十五日、イプラストレーニング開始後、初めての試合に臨んだ。結果は、5R TKOで見事勝利を納めた。
当日、和田Tは、控え室でペンシルサッカードなどのウォーミングアップを15分ほど行い、共に勝利を喜んだ。また、ボクシングトレーナー、関係者は、「今までは、あるポイントでいつももらっていたパンチを今日の試合では全くといって良いほどもらわなかった。これまでにない余裕のある勝利だった」と試合の様子を語った。
試合4日後、野中選手はイプラスジムを訪れ、和田Tと次の試合に向けての課題を話し合い、トレーニングを再開した。新たな階段を登り始めた野中選手のこれからが非常に楽しみである。(岸沢 香織)
野中選手の今後に注目!
みなさん応援よろしくお願いします。

野中悠樹(ノナカ ユウキ)選手
プロフィール
■生年月日:1977年12月10日
■出身:兵庫県尼崎市
■階級:スーパーウェルター
■戦績:16戦 10勝(5KO)5敗 1分
■プロデビュー:1999年11月22日

 人生を成功させる奇跡のテクニック 4回連載 児玉光雄 第2回
児玉光雄
京都大学工学部金属冶金科入学。 住友電気工業(株)入社。研究開発本部に所属。 カリフォルニア大学ロスアンジェルス校大学院材質工学科に入学。 同校工学修士号取得。 住友電気工業(株)を退社。 米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員スタッフとしてスポーツ科学を研究。 鹿屋体育大学助教授に就任。 専門は臨床スポーツ心理学、体育方法学。 日本体育学会会員。 日本スポーツ心理学会会員。 右脳活性プログラムのトレーナーとして多くの受験雑誌に右脳開発トレーニングを提供。 自ら名付けた「右脳IQ」という概念を日本に広めるために尽力している。

 第2回 誤った「自己イメージ」が才能を制限する

 誤った「自己イメージ」が才能を制限する 「最高の自分」に出会うことのない人は、「自己イメージ」の描き方がまずいのです。この描き方がうまい人だけがチャンピオンに仲間入りできるのです。何度も繰り返しますが、世間で言われているようにチャンピオンと並の人間とを隔てているのは才能ではないのです。
 ほとんどの人が間違った認識で自分を捉えています。かのソクラテスがこう語っています。「この世の中で自分が知らないことがただ1つだけあるとしたら、それはおそらく『自分は何者であるか?』ということである」
 驚いたことにチャンピオンやビジネス界の成功者といった一握りの人だけが自分を正当に評価しているのです。それ以外のほとんどの人が自分を過少評価しています。
「自信過剰」の人がいます。しかし、その人が自信過剰ではないのです。それを評価している人たちが、「自信過少」だからそう映るだけの話です。
「自己イメージ」がその人の運命のほとんどを決めているにもかかわらず、ほとんどの人が「自己イメージ」に驚くほど無頓着です。「自己イメージ」を持つことなしに歩む人生なんて、ちょうどレーダーを持たない飛行機のようなもの。目標どころか、自分の居場所さえわからないわけですから、最高の自分がいる目的地の空港に着陸することなんてできるわけがないのです。
 自分は何者なのか?自分はどうなりたいのか? 毎日このことにほんの少しでも時間を割きましょう。
 ここでわかりやすいお話をしましょう。自己イメージとして「算数が苦手である」と考えている人は、どこまで行っても「算数が苦手」です。
 しかし、冷静になって考えてみましょう。その人が「算数が苦手」と考えている根拠は何でしょう。その理由は案外たわいのないことが多いのです。
 たとえば、小学生のころ、算数の成績が悪かったためかもしれません。あるいは、スーパーで買い物の計算をするのが面倒くさいと考えているためかもしれません。いずれにしても、過去の経験や知識によってその人は「算数が苦手だ」と思い込んでしまっているのです。
「算数が好きになれない」のは事実かも知れませんが、だからといって算数が苦手と決めつけてはいけません。「自己イメージ」をちょっと変化させるだけで、人生は驚くほど違ったものになるのです。
 自己イメージに関して、プレスコット・リッキー博士が興味ある実験をしています。彼は英語のテストで45点しか取れなかった劣等生に「君は英語の才能に恵まれている」というメッセージを根気よく与え続けました。
 その結果はどうだったでしょう。彼の英語の成績は1年後に91点まで上昇し、学校一の成績を挙げるまでに成長したのです。彼の「英語で自分は45点しか取れなかった」という事実が彼の自己イメージを形成し、それが彼の英語の才能に制限を加えていたのです。
 ほかにも、背筋力の測定値が130キロの人間に催眠をかけ、「君の背筋力は確実に150キロを超える」と告げます。催眠を解いた後、彼の背筋力を測定すると155キロを記録したのです。
 これは催眠術が彼にパワーを与えたのではありません。本来保有している155キロの背筋力が「自分の背筋力は130キロしかない」という誤った「自己イメージ」により制限を加えられていたのです。
 誤った「自己イメージ」がその人間に限界をつくりだしているのです。才能のなさをうまくいかない理由にしてはいけません。人間というのは、その気になればあらゆる分野で天才になれるようにつくられているのです。
誤った「自己イメージ」を打ち破って成功をつかむには、「好ましいセルフトーク」を自分に向かって唱えることです。セルフトークとは何気なく口をついて出る独り言のことです。私たちは、無意識におびただしい量のセルフトークをつぶやいています。日頃から何気なく自分がつぶやくセルフトークに敏感になりましょう。
 セルフトークは、あなたの行動を支配する羅針盤。最高の自分に出会う近道は、セルフトークをテクニックとして洗練させればよいのです。
 仕事にやる気が起きないのは、自分に語りかけるメッセージに問題があるからです。常に肯定的なメッセージを語りかける習慣を身につけましょう。
 ピンチの状況に置かれたとき、「マイナスのセルフトーク」をつぶやくとやる気がなくなり、疲労感があふれてきます。反対に「プラスのセルフトーク」を唱えれば、驚くほど元気になれるのです。
 もうおわかりになったでしょう。私たちが抱えている悩みのほとんどは、「目の前の悲観的な事実にあるのではなく、その事実に反応した思考によって発生している」のです。思考とその解決策を紙の上に書いてみるだけで冷静になれ、案外簡単にその解決策が見出されるのです。ほとんどの場合、その人の抱えている仕事上の悩みは「思い込み」です。事実を歪曲した「思い込み」がマイナスのセルフトークの発生源なのです。 思い込みを捨てて、常に肯定的なメッセージを自分に語りかける。これだけで仕事へのやる気がみなぎり、あなたは成功の階段を昇っていけるのです。

 ジムレポート イプラスジム姫路

 イプラスジム姫路は、2003年10月にオープンし、多くの方々に支えられ、1年半が経過しました。若いスタッフが中心のとても明るいアットホームな雰囲気が自慢のジムです。

 先生方の素晴らしいノウハウが詰まったトレーニングを提供させて頂くのはもちろん、「ジムに来ると何か元気が出るんです」「ジムに来ると気持ちがリセットでき、また頑張れるんです」そんなお言葉を頂戴し続けられる空間作りを常に心掛けています。

 現会員様は、本当に素敵な方ばかり。新しい方もす~っと馴染めてしまう雰囲気が漂っています。それは皆様が、自分らしく、素直な優しい心の状態で、レッスンや会話を楽しまれているからでしょう。そんな素晴らしい会員様一人一人から、トレーナーもたくさんの気付きを得、一緒に学び、成長させていただいています。

 物重視の時代から、再び人間の持つ素晴らしい機能の活用や心のあり方が重視される時代がきています。そんな中、このイプラスジムの役割、そして可能性は大きなものであると確信しています。自分自身の可能性を信じ、本当に満足できる心を持てば、自分も周りも幸せになります。本来の自分自身の力を共に気付き、成長できる場「イプラスジム」へ、是非一度お越し下さい!

 岸沢香織のイプラス体験記

レッスン体験2回目。トレーナーさんや周りの皆さんの
おかげで、ひとつひとつのトレーニングの意味や目的が少しずつわかってきました。
しかし、まだまだ戸惑いと興奮が渦巻くレッスン中の心の叫び?をお届けします。

 

◎ビジョントレーニング
指を使って目をきびきびと動かす練習などを。これは楽勝と思っていたら、トレーナーさんから「右目が遅いですね」と指摘が。・・・いい気になっていたようです。気を引き締めて次のシンガンに臨みましたが、悲惨な結果に。トレーナーさんにお願いしてシンガンのコツを教えてもらいました。数字を追うと見逃すので、顔を動かさず、シンガン全体を見ることがポイントとのこと。トレーナーさんの「トレーニングすれば大丈夫です」(にっこり)のお言葉と笑顔に、「そ、そうだわ2回目だもの」と、力強くうなずき返したのでした。
◎メンタルトレーニング
目をつぶって椅子に座り深呼吸。トレ下の丹田を意識して呼吸していると、手のひらの温かさを感じることができました。いい兆候のような気がします。このあとのレッスンは落ち着いて受けられるかも。
◎右脳開発トレーニング
トレーナーさんから興味深いお話を聞きました。いつもテストの点がよい子に「何か秘訣があるの?」と聞いたら、「テストの時に頭で教科書を丸覚えしているので、それをめくって答えを書き込む」という子どもさんのお話でした。これは、右脳が上手に使われているからとのこと。そんなことできる人いるんだと感心していたある日、友人にこの話をしたら、「私もしていたよ」と意外な答えが返ってきました。「書いてあること写すだけだから、テストの点数はよかった」と、羨ましい学生時代を過ごしていたことが発覚。普段ぼんやりした友人(ごめん)の告白を聞いて「右脳を使うことは、特殊脳力じゃないのだ。コツがわかれば私にもできるのかも」と右脳がぐっと身近な存在になった気がしました。なにより、右脳が開発されたらとてもお得なことがたくさん起こりそう。苦手な課題の多い右脳トレーニングですが、がんばってみようと思う原動力になりそうです。
◎脳波測定
前回緊張していつの間に終わっていた脳波の測定。今回は1分ごとに違うことをイメージしてみることに。まずは、趣味のクライミング(道具を使わず岩場を登るスポーツ)で緑の気持ちいい岩場でスイスイ登れているイメージを。2分目は、好きな芸能人でも思いうかべよう。「あれ誰が好きだった?芸能人って、うわ、もうすごい時間経っているかも」、なんてぐるぐるしていたら2分目終了。ラスト3分目は、おいしい食べ物をイメージ。「今の気分は□□□□□□□□□□□□□□□□□ケーキかな?そうでもないなぁ」なんて思っていたらあっさり3分経過。結果、1分目は、リラックス度の高いα波が多く、2、3分目は予想通りストレス度の高い、β波が多く出ていました。考えたことでこんなにも結果が違うなんて・・・。迷わず、興味のあるものをイメージするとよい結果がでるみたい。次回に生かさねば。

◎今日の収穫
トレーナーさんが、「毎日トレーニングをして、夢に確実に近づいてきている」とおっしゃっていたことが一番印象に残りました。パンフレットの表紙にも、「なりたい自分を手に入れる!」の文字が躍っているではありませんか。ということは、このレッスンを続けると私のあの夢が叶うのかも?楽しみだ。

岸沢香織
会社員時代、社内報に書いたエッセイをほめられ、その気になって勢いでライターに。現在は、書評・インタビューなどを中心に活動中。